「コンテンツマーケティングとは、恋愛戦略である」〜インフォバーンが語る、人を惹きつけるコンテンツ、7つのポイント
こんにちは。マーケティング担当の伊藤大地です。
最近、マーケティング関連情報を追っかけているとよく聞くのが、「コンテンツマーケティング」という言葉。「良質な情報を発信して集客し、云々」などと説明されていますが、「良質な情報って、んな簡単にそれが発信できたら苦労しないわ!」と思うこともしばしば(笑)
そんな折、足を運んだセミナーで、インフォバーン コンテンツ部門/執行役員&部門長の成田幸久さんによる、コンテンツマーケティングのプレゼンテーションが大変、参考になったので、ご紹介したいと思います。
「コンテンツマーケティングは恋愛戦略である」。と成田さんはまずはじめに言います。もう、「顧客と企業が云々」というこれまで何度も目にした説明がぶっ飛んでしまうくらい、インパクトがある"ツカミ"です。まずは両者を定義してみましょう。
コンテンツマーケティングとは、適切で価値のあるコンテンツを作成し、配布するテクニックである。ターゲットとなる見込み客を明確に定め、理解することで、見込み客を惹きつけ、獲得し、関係を持ち、購買に結びつけることを目的とする。
恋愛戦略とは、適切で価値のある自分を育て、好きな人にアプローチするテクニックである。ターゲットとなる好きな人を明確に定め、理解することで、好きな人を惹きつけ、獲得し、関係を持ち、恋愛(あるいは結婚)に結びつけることを目的とする。
あ、あれ、すごく似てませんか。成田さんは、コンテンツマーケティングを仕掛ける企業は、見込み顧客に片思いをしているようなものだ、と言います。
では、両思いになるにはどうすればいいのか。ステキなのにモテない人(=いい商品やサービスを持っているのに、コンテンツで見込み顧客を惹きつけられない人)は、どうすればいいのでしょうか。自分はなにができる、という自慢ではなく、徹底した相手目線からの発信が必要だと成田さんは言います。
ウケるコンテンツ、7つのポイントは"SUCCESS"
そこで、相手目線で、心を動かすコンテンツの条件を7つのポイントにまとめた、SUCCESSモデルというものがあるそうです。
SUCCESSは、
- Simple = 単純明快
- Unexpected = 意外性
- Character = 個性
- Confidence = 信頼性
- Entertainment = おもてなし
- Sympathy = 共感
- Stories = 物語性
Simple
単純明快さが重要という概念です。
成田さんは、Yahoo! トピックスがニュースの概要をわずか13.5文字に圧縮することで、読む気を起こさせていること、「インド建国の父」というたった7文字で、多くの人にガンジーを想起させることができるのは、端的な表現を突き詰めているからだ、といった事例を紹介されていました。
Unexpected
常識や通念をひっくり返すような要素を入れて、読み手を驚かせる意外性のことです。
サメが出たために海水浴客が減ってしまったビーチの宣伝を例に挙げ、「サメで1人が亡くなるのにに対して、シカでは300人も亡くなっています」というグラフィックで、「サメはシカよりも危険」という通念を覆した事例を紹介しています。
Character
個性を指します。メディアやコンテンツを発信元において、特徴や仮想の人格をはっきりさせると、差別化や一貫性を持たせることができます。
ここでは、インフォバーンの関連会社が手がける、ギズモード・ジャパンが「怒らない」「中立」「主張しない」「謙虚」といった記事のトーンを通じて、「弱キャラ」というキャラクターを一貫して演出していることが紹介されました。
Confidence
信頼性を指します。ソーシャルメディアの生の声や、有名人・著名人からの言及・紹介などを最大限、有効活用することが考えられます。例では、書籍の帯に有識者のコメントが用いられることが紹介されていました。これは、有識者の権威をうまくコンテンツの価値に反映させる手法です。また、統計による数値で説得力を出すのもこれに入ります。
Entertainment
演出力や話題性、遊び心、おもてなしがコンテンツには必要だと成田さんは言います。ここでは米国のミキサーのメーカーが、iPhoneを粉々に粉砕して、大量のソーシャルメディア拡散を得たこと、自社関連の製品をほとんど紹介せず、ライフスタイルや食事などの情報をブログで発信し続けて人気を得たスーパーマーケットの事例が紹介されていました。
Sympathy
共感を指します。ソーシャルメディアで拡散されるかどうかは、この共感に大きくかかっています。事例としては、同じ貧困問題への寄付を訴えるのでも、ひとりの少女にクローズアップしてその悲惨さを伝えることにより、貧困問題という大きなテーマより、その少女への共感を通じて、コンテンツがシェアされていく、というものが紹介されていました。この事例は、最後に挙げられている物語性の要素も多分に含んでいるように感じます。
Stories
物語性です。同じ情報を伝えるのにも、物語をうまくつかうことで、より読者の印象を強くすることができます。事例としては、アメリカの交通安全キャンペーンの動画が取り上げられていました。
安全性のためにシートベルト着用を訴える、淡々としたドキュメントよりも、クルマのCMと見せかけて、そのあと事故のシーンを流し、最後に「シートベルトを締めましょう」というコメントで締める動画のほうが、意外性のあるストーリーで語られることで、より心に残るようになっています。
(以下の画像はコンテのはじめのコマです。オチまで見たい方はこちらをご覧ください。)
欲張らずにひとつでも意識することが大事!
以上、7つのポイントをまとめましたが、成田さんは「すべてを満たしていなければならないわけではない。いくつか、もしくはひとつでもコンテンツに入れ込もうと意識することが重要」とおっしゃっていました。「モテる」ためのコンテンツづくりに、ぜひ参考にしてみてください。
なお、このSUCCESSモデルや紹介した事例の一部は、書籍『アイデアのちから』によるものだそうです。私もぜひ、読んでみたいと思います。最後に、資料転載をご快諾いただきました、成田さんに改めて御礼申し上げます。ありがとうございました!
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