インバウンド・マーケティングはメソッドではない。「考え方」である
こんにちは。マーケティング担当の伊藤大地です。
昨日、国内初のインバウンド・マーケティングのセミナー「INBOUND MKTG 2013」に参加してきました。まだ、インバウンド・マーケティングという言葉に馴染みのない方も多いと思います。
従来の広告枠やDM、電話営業などこちらから提案していく、外向き(Outbound)なマーケティングから、見込み客が自ら、ソーシャルメディアや検索エンジンを通じて自社サイトに来てもらう(Inbound)ようにするマーケティングに、変わっていかなければなりませんね、というのがごく簡単なご説明になります。
しかし、実際のところ、インバウンド・マーケティングを実践するにあたり、どんなコンテンツを作ればいいのか、どうやって効果測定したらいいのか、そもそもブログやSNS、PDFドキュメントなど様々にあるツール、メディアの中から何をどう使えばいいのかなど、つい考えてしまいがち。
インバウンド・マーケティングとは、方法ではなく考え方、哲学である
しかし、そうしたハウツー的なメソッドではないことを、イベント主催者であり、日本にこの概念を輸入した張本人でもある、マーケティングエンジンの高広伯彦さんは、「インバウンド・マーケティングとは、方法ではなく考え方、哲学である」という言葉で表しています。
では、どういう考え方なのか。高広さんが古い考え方、新しい考え方を対照的に、そして印象的に説明されていたので、幾つかご紹介します。
古い考え方:(ソフトウェア販売において)店頭で説明して、パッケージソフトウェアを買ってもらう
新しい考え方:30日トライアルや、無料の機能限定版でまず評価してもらう
古い考え方:ユーザーに嫌われがちな広告やDMを使う
新しい考え方:検索を中心に据えて、自社のコンテンツに来てもらう
古い考え方:コンバージョンを上げるために、煽ったコンテンツを増やす
新しい考え方:ユーザーに愛されなければダメ。嘘のないコンテンツを増やしていく
古い考え方:(見込み客を捕まえる)ハンターになる
新しい考え方:(見込み客を愛でて育てる)ハーヴェスター(農家)になる
いずれの表現にも共通しているのが、「何を見て何を選ぶのかは、企業ではなく消費者が握っている」という認識だろうと思います。
また、こうした取り組みが売上として実を結ぶまでの期間については、パネルディスカッションで取り上げられていましたが、概ね半年から1年はかかるだろう、と見解が一致していました。
どういうコンテンツを増やせばいい?
イベントでは、実際にインバウンド・マーケティングの取り組みを始めている企業や、それをサポートするスペシャリストの方が、どういうコンテンツを作ればいいか、という点についても議論がかわされました。
その中から、印象に残った発言をいくつか引用しておきます。
自分が書きたいことをことを書くのもダメ(ビジネスと関係がなくなる)、お客さんが読みたいことだけを考えて書くのもダメ(継続できない)、自分が読みたいと思うものを書き続けるのがいいです。 河野武さん
私はこう思う、という情報を発信したほうがいい。読者に悩みをさらけ出したり、本音トークをしたり、突っ込みどころをあえて残したり、巻き込んでいくのが重要だと思います。 インフォバーン 増田隆幸さん
マーケティングにとらわれていると、差別化ばかりでどんどん、本来ボリュームのある中心部分が空洞になってドーナツの穴ができてしまう。ど真ん中のところを狙っていくことも重要です。 水野学さん
などなど、参考になる発言ばかりでした。KPI設定、効果測定、PDCAサイクル......と考えなければならないことはいろいろありますが、初心忘れず、という思いを強くしたイベントでした。
<追記>
イベントで講演したシックス・アパート関が、会場やTwitterからの質問に回答したブログ記事「オウンドメディア「Six Apartブログ」の運営の実態を、INBOUND MKTG 2013でお話しました」を公開しました。
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