ド素人撮影の微妙な写りの写真をなんとかする!無料ソフトでの色補正術を即席特訓してみた

オウンドメディアやブログの記事を彩るために、欠かせないのがキレイな写真。

ド素人が『「ISO感度も絞りも意味わからん!」なド素人を、最低限まともな写真を撮影できるよう即席特訓してみた』の記事で学び、構図は(多少)マシな写真が撮れたとします。でもこの写真、何の補正もせずにそのまま掲載すると見栄えが本当にイマイチ。

画像の加工や補正って思った以上に難しいです。フォトショップ等のプロ向けツールが使いこなせる人にとってはカンタンな画像補正も、素人にはどこから手を付ければいいのかチンプンカンプン。

そこで、シックス・アパートのデザイナーの後藤さんに、企業のメディアやブログに掲載できるレベルに近づけるための画像補正法をレクチャーしてもらいました。

今回、実例として使う写真は中山が個人のスマホで撮影した写真のため構図&被写体が残念なものも多いのですが、画像の色補正の参考のためということでご了承くださいませ。

himawari-ogp.jpg

蛍光灯の部屋だと変な写真になるのはナゼ?

中山「部屋の中で撮った写真って、なんか緑っぽくなるんですけど、僕の腕が悪いんですかね?」

後藤「蛍光灯のせいかもしれないですよ」

中山「蛍光灯? それがどう影響するんですか」

後藤「カメラって、周囲の光の量や角度や色に影響されます。蛍光灯の下では、全体的に緑っぽい写真になりやすくって、白いはずの壁やテーブルが緑がかるのですぐにわかります」

中山「じゃあ、誰が撮っても影響は免れない、と」

後藤「ええ、ホテルのパーティルームとか、赤っぽい照明の中で撮影すると赤っぽい写真になってしまいます。理想的な光源は、曇りの日の北側からの光、”北空昼光(きたぞらちゅうこう)”と呼ばれてますね」

北空昼光とは、基準となるある色と、この色に合わせて調色された塗料の色を比較する場合、色差計を用いる方法と自然光のもとで行う評価法がある。北空昼光(きたぞらちゅうこう)とは、後者で評価する場合の理想的な光のことで、北半球における北空からの自然昼光をいう。ただし、日の出3時間後から日の入り3時間前までの太陽光の直射を避けた天空光であることが条件。この時間中に色合わせ評価することが望ましい。北窓昼光ともいう。

中山「曇りの日の北側からの光が理想って……かなり限定的ですね」

後藤「プロのカメラマンは、ライトやカメラの設定で本物に忠実な色を再現するように調整していますよ。でも、素人は機材にたくさん投資できないですよね?」

中山「そうなんです。素人でもカンタンにできる画像補正の方法ってないですかね?」

補正の基本 = ”白い部分を白くする”

後藤「大前提として、写真は”眼で見たとおりには撮れない”と思ってください」

中山「ええっ、意味がわからない。カメラは現実を忠実に切り取る機械でしょう?」

後藤「人間の眼で見ると、室内の灯りは太陽光と変わりなく色を再現しているように見えるけれど、実際には照明の色に影響を受けているんです」

中山「じゃあ、たとえば夜に屋内で撮ったこれはどうですか?」

original.jpg

※夜にスマホ(アイフォン5S)で撮った写真


後藤「悪くはないです。夜に室内で撮影したから、室内の照明1種類の影響を受けて、カメラでホワイトバランスが自動補正されたっぽいですね。照明が1種類だとカメラの性能でも補いやすいものなんですが、たとえば日光と照明といった2種類以上の照明がかぶると、色がケンカしてしまう。そうすると、いくら補正してもうまく調整できないんです」

中山「ふむふむ、覚えておきます」

後藤「補正するときの基礎として、”白いところが白かどうかを基準にすべき”と覚えておくといいですよ」

中山「白が白かどうかが基準?」

後藤「色調補正をするときは、まず白に注目します。純白の被写体をどのように写すかをホワイトバランスと言います。白いシャツ、白いお皿、白いペットボトルのキャップの白さを基準にして白に近づけていくことで、他の色も本来の色に寄せていくことができます」

中山「白が出発地点なんですね」

後藤「今回はフォトショップではなく、オンライン画像編集ソフトの『 FOTOR 』を使いましょう。使う機能は大きく2つ、”ワンタッチ補正”と”色調補正”です」

中山「はい! FOTORを立ち上げました」

後藤「最初に”ワンタッチ補正”を押してみて……ホラ、ちょっとだけ印象良くなるでしょ?」

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one-touch.jpg

※ワンタッチ補正したら、ちょっといい感じになった


中山「お、ちょっと自然なふうになりました。何が起きたんですか」

後藤「FOTORがなんかいい感じにしてくれてるっぽい、おまじないとしてやっておけばいいですよ」

中山「メカニズムはよくわからないけど、癖にしておきます」

後藤「次に”色調補正”をしましょう」

中山「色調補正とは…?」

後藤「暗すぎるところだけ明るくしたり、色味を修正したりできる機能です。さっそく、RGBモードにして線をつまんで、左上に引っ張ってみると……」

sikichou-hosei.jpg

中山「おお、赤みがとれて、さらに自然っぽくなってる気がする!」

後藤「ほんの少し赤みがあるから、赤以外のパラメータをいじってみましょう」

後藤「RGBモードで真ん中をつかんで左上に……そうすると全体的に明るくなります。コントロールポイント(ひっぱる場所)によっても明るくなる場所が変わるから試行錯誤しながら」

中山「本当だ、全体的に明るくなってきた」

後藤「真ん中より下をつまんで左に引っ張ります。やりすぎると色が飛ぶから注意」

中山「RGBは左上にカーブをもっていくと、明るくなるんですね」

後藤「青を選んで、左に引っ張るとどうなります?」

中山「青っぽくなる!」

後藤「黄色、赤が激しいときは、青で調整すると白がより白に近づきます」

kansei.jpg

※中山が完成させた画像。自然な畳の色合いが出せた気がする


ちなみに後藤さんの修正した画像がコレ。

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※負けた…。比較すると一目瞭然。より一層、自然な畳感が出てる。自分のは全体的にまだ赤い……orz

食物が青いと不味そうに見える

中山「次はおでんですけど、青っぽくなってしまって美味しそうに見えないんです」

oden.jpg

※全体的に青くて食欲をそそらない


後藤「食べ物は緑や青っぽいと不味そうに見えるから、多少は赤に寄せてもOK」

中山「食べ物は赤みがかってもOK……と」

後藤「青っぽい白身の鯛のお刺身なんて、美味しそうに見えないでしょう?」

中山「たしかに」

後藤「緑がかっている場合は、赤と青を左上に調整してみてください」

中山「了解です。”基本的な調整”ってメニューは?」

後藤「基本的な調整はしてもいいですね。コントラストを上げると”暗いところはより暗く、深みが増してハイライトの部分が明るく”なります。全体にぼんやりした印象の写真なを引き締める効果があります」

kihon-chousei.jpg

中山「明るさを単純に上げるだけだと、均等に明るくなってしまって全体的に色が飛んでしまうんですよね」

後藤「いきなり明るさをいじるんじゃなくて、まずは色調補正でより自然なふうにすること。色調補正は、本来の色に合わせるものです。白は白いか。食べ物なら美味しそうに見えるように」

中山「逆光とか日陰とかで撮って、暗くなった場合は?」

後藤「それもトーンカーブのRGBを色調補正できます。どこを引っ張るかで明るくなる場所も変わるから、写真を見ながら試してみてください。失敗してもundoでやり直せますしね」

中山「コントラストをするのも、色調補正をしてから?」

後藤「そうです。いきなりコントラストをいじると変な色のママかわってしまうので。何はともあれ、最初にするのは色調補正です」

中山「”彩度”と”シャープネス”ってなんですか?」

後藤「”彩度”は色の鮮やかさで、”シャープネス”は画像の輪郭を強調させます」

中山「なるほど、わかりやすい」

後藤「ただ、シャープネスをいじるのは最後ですよ」

中山「そうなんだ、シャープネスは最後にっと……」

後藤「”シャドー”を上げると、暗すぎるところを修正してくれます。おでんのおつゆの色に注目してください。透明感が増してません?」

中山「本当だ、透明度が変わっていく……」

後藤「明るい場所と暗い場所のコントラストがありすぎると、おつゆの中が見えなくてま不味そうに見えます。塗りつぶさないように、黒い場所を起こすかんじで」

oden-onetouch.jpg

※がんばって調整してみた。どす黒かったおつゆが透き通って、美味しそうになってきた。


中山「がんばって修正してみました。いかがでしょう?」

後藤「まだ少し赤っぽさが残っているけど、悪くないです。食品の多少の赤かぶりはアリですから」


ちなみに後藤さんの修正した画像がコレ。

food05_fotor.jpg

※かなり寄せられた気がする。少し自信がついてきた\(^o^)/

ホテルの中で撮った写真は赤くなりやすい

中山「次はホテルのパーティー会場で撮ったケーキです」

後藤「照明のせいで、思いっきり赤が被ってますね。白いはずの皿が赤いし」

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※まるで赤いサングラスをかけて見たかのよう


中山「ここまで真っ赤だと、さすがに手の施しようがないですよね?」

後藤「大丈夫です。まずワンタッチ補正”をかけて、次に色調補正してみましょう。”基本的な調整”で彩度を少し上げて……美味しそうだなと思うていどに」

中山「よいしょ、よいしょ……これでどうでしょう?」

cake-nakayama.jpg

※自分なりのベストがコレ


中山「どうやっても皿をこれ以上白くできません……」

後藤「RGB(赤緑青)のうち、赤のカーブを下げて緑と青を上げてみましょう。本来の色に近づいているかどうかは、”お皿が白いかどうか(ホワイトバランス)”を基準に調整を続けること」


ちなみに後藤さんの修正した画像がコレ。

food02_fotor.jpg

※おおお、ぜんぜん違う……。お皿もクリームも白くなったし、断然美味しそう!


後藤「スイーツ自体は現物に近づいたと思うんですけど、背景の黒いテーブルクロスがザラザラしてしまいました。潰れてしまった色まで再現するのは難しいから、たとえばメニュー表などのデザインに使いたい場合は、”お皿のラインでトリミングして、背景を合成”してもいいですね」

曇りの日の写真はどう補正すればいいのか?

中山「屋外写真のアドバイスもお願いします。曇り空だったので、いまいち暗いんです」

後藤「どんよりしてますね……元気のいい、夏らしい印象にしたいんですよね」

中山「そうなんです。でも、天気ばかりはどうしようもなくって」

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※曇り空なので、せっかくのひまわりも元気なく見えてしまう…


後藤「まず”ワンタッチ補正”して、青く薄暗いのでひまわりの黄色を生かすために“色調補正”で全体を赤っぽく&明るくします(RGBを少し上に)。次に写真の鮮やかさ、“彩度”を少し上げましょう……緑がイキイキして、黄色があざやかになります。ただ、人間の目で見て異常じゃないレベルで留めてください」

中山「ラジャです」

後藤「ちなみに、”コントラスト”と”明るさ”を少し上げると、雲を飛ばして青空っぽくすることもできますよ」

himawari-nakayama.jpg

※中山が全力で補正したのがこちら。夏っぽくはなったが、葉っぱの黄ばみが気になる。


ちなみに後藤さんの修正した画像がコレ。

himawari-goto.jpg

※こっちのほうが自然な光だ!葉っぱが青々しているし、花弁の色も綺麗。

画像サイズ&JPGクオリティの話

中山「保存方法が雑だと、せっかくキレイに修正した写真が汚くなりません?」

後藤「大きな写真、たとえば1,200×800をただ600×400に縮小するとぼやけます。実際に使うサイズまで小さくしたものに対して、シャープネスをかけるべき」

中山「シャープネスはをかけるのは、縮小後っと……」

後藤「アイコンサイズ(90×90等)の場合もシャープネスをかけてください。小さな写真のフィニッシュに、少しシャープネスを使うとグッと引き締まりますよ」

中山「引き締まるのなら、ガンガンにシャープネスをかけてやればいいのでは?」

後藤「かけすぎると、輪郭がザラザラしてくるのでホドホドに」

中山「過ぎたるは及ばざるが如し、ですね」

後藤「あと、RGBで”ゆるいS字”を描くように調整すると陰影がくっきりするけど、これもやりすぎると全体的にどす黒くなります」

中山「光源しだいで物の色って変わるんですね。赤い照明の下だとぜんぶ赤くなるし、蛍光灯の下だと緑っぽくなってしまう」

後藤「人間の眼は環境に合わせて自動で上手くバランスをとってくれますが、カメラ・レンズはそうはいかないんですよ」

中山「高級なカメラがあれば、問題ないってわけでもないのかー」

後藤「オートホワイトバランス機能付きのカメラもありますが、撮影するときは光源を確認するのが原則。カメラの機能に期待しすぎてはダメです。コンパクトデジタルカメラやスマートフォンのカメラなら確実に影響受けますよ」

画像補正のおさらい

  • ホワイトバランスに着目して、白い被写体を白色に近づけてみよう
  • ワンタッチ補正、色調補正のトーンカーブで色味を調整しよう
  • コントラストの調整、カラーレベル、シャープネスをいじるのは最後にしよう

以上、画像の色補正のヒントになれば幸いです!

参考サイト

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