なぜコンテンツマーケティングにはおもしろさが求められるのか?
こんにちは。
Zenback、そしてLekumoキャンペーンビルダー担当の田村です。
3月6日に行われた、はてな×NHN Japan×ニフティ・デイリーポータルZ 共催「コンテンツマーケティング・セミナー」に参加してきました。
はてなブックマークニュースやlivedoorニュース、ワラパッパ、そしてデイリーポータルZでの、常に「おもしろ」を追究する広告企画の実例を中心に、「なぜおもしろさが必要なのか?(本当は必要ないんじゃないのか?)」「クライアント企業は正直言ってどう思っているのか?(怒ってないのか?)」といった、本音の部分をたくさんうかがってきましたので、お伝えしたいと思います。
お土産として、はてな×デイリーポータルZの広告タイアップ企画資料(ややまじめ)や、期末の予算消化のために最短3日からできる、デイリーポータルZ×ワラパッパの「超すぐできる企画一覧!!」(全然まじめじゃない)などをいただいて帰ってきました。
超すぐできると言ったって3月ももはや半ばなわけなのですが本当でしょうか。この中から本当に採用して3月に実施した企業がいらっしゃったら、一生ついていくとおもいます。
なぜコンテンツマーケティングにはおもしろさが必要なのか?
この問いに対する田端信太郎さん(NHN Japan執行役員 広告事業グループ長)の答えは単純明快。
情報流通量が爆発的に増えている現在、「ふつうにやるだけでは埋もれるから」。
我が国の情報通信市場の実態と情報流通量の計量に関する調査研究結果(平成21年度、総務省)より。
説明を読んでもどう計測している数値なのか文系の私にはさっぱりわかりませんでしたが、情報の流通量と消費量の差がどんどん開いていっているのが一目瞭然です。
読者がついついツッコミを入れてしまう、「つっこまれビリティ」のあるコンテンツは、自然とシェア、拡散されていくといいます。ただし、他者(競合他社含む)をおとしめるような企画では炎上マーケティング。自分をおとすのが「つっこまれマーケティング」だと語る田端さん。
これを念頭において、3社の実際の広告企画事例をうかがうと、「たしかに」と思う企画がたくさんありました。
自社サービスをベースに、「ユーザーのつっこみ待ち」の状態で2,500投稿を集めたはてな
ライフネット生命をとにかくバズらせろ、というクライアントからのお題に、「それならユーザー自身に投稿させるのが手っ取り早い」と自社のサービス「はてなセリフ」をつかうことを思いついた、というのははてなの広報・マーケティング担当、山田聖裕さん。
出口社長自らに、自らコラ画像になってもらうという大胆な企画で2,500投稿を集めたそうです。
- ライフネット生命 出口社長におもしろいセリフを言わせよう!
http://serif.hatena.ne.jp/lifenet/
「無駄な努力、無駄な工作、無駄な美人」でアクセスを伸ばすライブドア
いっぽう、NHN Japan広告事業部チーフプロデューサーとして、「livedoorニュース」、「LINE」などでの広告企画・制作を担当する谷口正人さんが危惧しているのは、「ウェブではお金をかけたおもしろいコンテンツがそもそも作られていない」こと。「一億総ツッコミ時代」(引用はこちらの著書から)とも言われるいま、ウェブでは深刻なボケ不足だと語ります。
そんな谷口さんの関わる広告企画は、とにかく全力でお金がかかっていて、なのに無駄。
ロシア美人に巨大な水鉄砲で社員をふっとばしてもらうという、「一体なにが言いたいのか」ともうつっこまずにはいられない企画を手がけます。
- ロシアと日本の美女対決!最強の水鉄砲 × 最強のメカ水着(livedoor) - 国内 - livedoor ニュース
http://news.livedoor.com/article/detail/6995053/
クライアントを「共犯者」にするデイリーポータルZ
ふだんの記事から「ライターは実名で顔も出す」「自分が興奮できることを書く」「外に出る」などをモットーにしているデイリーポータルZでは、広告企画のときにも「ふだんどおり」を意識し、クライアントの担当者にも積極的に記事に出てもらっているといいます。その理由は、「取材のときから担当者と一緒に盛り上がると、チェックが甘くなる」と赤裸々に語る林雄司さん(デイリーポータルZ ウェブマスター)。
そんな理由で皆さんスーツで釣り船に乗せられたりしていたんですね…。
- @nifty:デイリーポータルZ:深海魚を食べてもらいたい
http://portal.nifty.com/2012/11/01/a/
じつはクライアント企業のほうがよく理解している
とこのように、田端さんの「自分をおとす、つっこまれマーケティング」を、自分というよりクライアントの企業を(たとえば文字通りプールに)おとすことで忠実に実行している3社。クライアント企業に怒られたりすることはないのでしょうか?
もちろん、提案段階でボツになる企画は山のようにあるそうですが、採用してくれた企業に今回話を聞いてみたら「びっくりするほどいろいろ考えてくれていた」と3社とも答えていました。
たとえば、はてなのクライアント某社では、広告企画を通す何カ月も前から、「はてなブックマークっていうサービスが、いまイケてるらしいですよ」と根回しを始めておいたとか。
あるいは、まじめな会社の担当者の方からは、「自分たちではふざけられないけれど、かたい企業である自分たちがボケることで、よりおいしいと思った」と、そこまでわかっているんだ、という回答も。
共通しているのは、「自社のサービス、製品が本当に大好きで、それを届けるためにしなければいけないことが本当にわかっている」担当者が多いこと。
短期の獲得件数が重要になるような「広告」の予算としてではなく、PR、ブランディング、ユーザーコミュニケーションを含めた、「種まき」としてのマーケティング予算として考えられているケースが多いようです。
オウンドメディア運営に「つっこまれ力」は必要?
今回の結論として、田端さんもおっしゃっていたのは、ターゲティング技術や、広告効果を緻密に計算する獲得系の広告がウェブでは主流だったけれど、それだけじゃなく、"種まき"の部分が重要であるというのは、クライアント企業の間でも共通理解になってきている、ということです。
このSix Apartブログがスタートしたのも、その意味では同じ、"種まき"としての役割が大きいです。
では、オウンドメディア上でも同じように、「おもしろコンテンツ」や「つっこまれ力」は必要なのでしょうか?
セミナーでは、「自分でおもしろをやろうとすると、寒くなってしまうので、いじり役が必要」ということも言われていました。おもしろをやろうとしてがんばっているなぁ~っていうのがばれてしまうのほど辛いことはないですね。とてもよくわかります。ここは素直に出稿し、デイリーポータルZやwarapappa、はてなの「おもしろプロフェッショナル」の皆さんにお任せしましょう。
一方で、オウンドメディアに必要な「つっこまれ力」もあるとおもいます。
たとえば、「教えてやってるぞ」という高飛車な態度や、「あなたにとって最高でスペシャルなたったひとつの製品」というようながっちがちのブランディングメッセージをのせたりしないこと、「隙をつくって、つっこまれやすいようにしておく」「ユーザーコミュニケーションが生まれやすいようにしておく」ということなどが、思いあたりました。うん、それってたしかに重要かつなかなか難しいスキルです。
というわけで、私も製品担当(Zenback AdsとLekumoキャンペーンビルダーをよろしくお願いします)としてマーケティングを考えていく上でも大変参考になるセミナーでした。
貴重な機会をいただいた共催3社の皆さまにはあらためてお礼申し上げます。
なにも関係ないですが会場の渋谷ヒカリエ27F、NHN Japanオフィスからの夜景は格別でした。羨ましい。
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