AI検索で失敗して分かった、自社サイトの地道な更新こそがAI対策
この記事のポイントは…
AI検索で「閉館したホテル」を提案された失敗体験から、ウェブ上に残り続ける「古い紹介記事」が引き起こすAI時代の落とし穴に気づきました。
他社メディアに掲載された過去記事は更新できませんが、自社サイトなら常に最新の正確な情報を届けられます。
一次情報源となる自社のサイトについては、AIが見ても、人間が見ても、最新の情報にたどり着けるようにしておくために、情報整理をこれまで通り頑張りましょう。

先日、「娘と二人、8月XX日に横浜に一泊予定。ブックホテルとか、特徴のあるホテルないかな。予算はX万円くらい」と、いつもの Claude(Opus 5)に問いかけました。
少し待って出てきた回答は、次の通り。
🤖「ホテル エディット 横濱(JR桜木町 新南口 徒歩3分)
本が軸ならここ一択です。フロント横にスタッフ選書のライブラリーを併設し、地元・有隣堂の複合書店『STORY STORY YOKOHAMA』とのコラボで事前カルテを元に書店員が5冊を選び、チェックイン時に受け取って滞在中に読める(気に入れば購入可)選書付きプランを実施してきました。ただし販売状況は年によって変わるので要確認。(+3件の情報ソースへのリンク)」
おお、理想通り!
有隣堂と言えば YouTube チャンネル「有隣堂しか知らない世界」も大好きだし、本をおすすめしてもらえる体験も楽しそう。
そう思って、AI回答に含まれていた情報ソースへのリンクは踏まず、「ホテル エディット 横濱」で検索しました。
すると、検索結果ページで目に飛び込んできたのは「営業終了のお知らせ」の文字。2025年2月28日で閉館していたそうなのです。
😵「ホテル エディット 横濱、営業終了のお知らせって書いてあるよ。すごい良さそうだったのに〜! 何でそれが判らなかったの? 検索しなかった?」
🤖「ごめん、完全に私のミスです。2025年2月28日で閉館してました。検索はしたんですが「選書プラン」の中身を調べる検索しかしておらず、営業しているかどうかを一度も確認しなかった。ヒットしたのが2021年のプレスリリース、note記事、施設紹介ページで、どれも閉館後に更新されていない生き残りページでした。日付の古い記事しか出ていない時点で疑うべきでした」
……AIって、こういうことありますよね。
さらに、同じ会話の中にもうひとつ間違いがありました。今回の旅の目的地のひとつ、○○ショップの立地の間違いです。🤖「○○ショップが入っているランドマークプラザ直結の△△ホテルもオススメです」。ランドマークプラザにそのショップがあったのはもう何年も前。今は、横浜エリアの別の商業施設に移転して営業しています。
「古い紹介記事」は、AI時代にはやっかい
自分が宿泊するホテルを調べるならば、その情報が最新で正確かどうかも確認します。例えば、公式サイトで現在提供中のプランと空き状況を確認する、ホテル紹介記事ならばいつ時点の情報かを見る、ホテル紹介サイトならば最新の口コミを読む、などなど。
一方、AIに「横浜でおすすめのホテルは?」と聞けば、ウェブ上のさまざまな情報をもとに、条件に合う候補をリストアップしてくれます。ところが、その情報が最新かどうかまでは気を配ってくれません。
今回、AIが提示してきた3件の情報ソースは、2021年のプレスリリース、note の個人ブログ記事、施設紹介ページ。どれも数年前の古い情報でした。
雑な聞き方でAI検索に失敗して思ったのは、私自身、企業の広報担当として「自社のお客様が、こんな風に古い情報へ誘導されてしまったら困るなあ」ということでした。
ホテルの広報担当さんにとっては、プレスリリースもブログ記事も施設紹介ページも、公開当初は多くの方に読んでほしかった情報のはずなのに。
最新の正しい情報を伝えられるのは、自社サイト
広報がメディアに情報提供を行い、掲載された記事。または、第三者がブログやSNSに書いてくれた記事。それらの記事は、その時点では正しい情報でした。記事が公開当時の内容のまま残るのは、記録としては正しいあり方です。問題は、それをAIが情報の鮮度を考慮せずに拾ってしまうことのほう。
情報が古いからといって、企業側から他社サイトに掲載された記事すべてについて、修正を依頼してまわることはできません。
代わりに、企業が確実に手を入れられるのは自社サイトです。公式情報を探しに来た人に、最新の正確な情報を提供する。それが公式サイトの役割です。当たり前ですけれどね。
AI検索対策の前に、サイトの情報整理をしよう
「AIに自社の情報を正しく理解してもらうには?」と考えると、何か特別なAI検索向けの対策をしたくなります。ですが、今回の失敗で改めて思ったのは、「AI検索対策の前に、まずは自社サイト内の情報整理から」でした。
自社製品についてAIが紹介してくれる際、どのページが参照されるのかを、企業側で完全にコントロールすることはできません。
加えて、他社サイトに掲載されたページには手を入れられません。編集できるのは自社が管理するサイトだけ。
であれば、一次情報源となる自社のサイトについては、AIが見ても、人間が見ても、最新の情報にたどり着けるようにしておく。AI検索対策として特別なことに手を出す前に、まずはここからですね。
例えば、こんなところから始められそうです。
- 製品・サービスページを、最新の情報に合わせて更新する。
- FAQ やマニュアルなど、付随するページに古い情報が残っていないかも確認する。
- 古いが残しておくべきページ(過去バージョン利用ユーザーの方への案内など)は、どの製品・どのバージョン向けの情報かが明確に伝わるように記載する。
- ニュースやプレスリリースは、発表当時の内容として書き換えずに残す。代わりに、発表日の明記に加え「発表当時の情報です」といった注記を添えておく。
今回、閉館したホテルをおすすめされてしまったことで、自社サイトの役割と重要性を改めて実感した、というお話でした。
おまけ
この記事を書いて公開準備をしている時に、世界的に著名なSEOのエキスパートである米SparkToro社のランド・フィッシュキン(Rand Fishkin)氏による「Does Your Website Still Matter in the Zero-Click Era?(ゼロクリック時代にウェブサイトはまだ重要か?)」という記事を見かけました。
記事の中でフィッシュキン氏は、SNSやメディアなど他社サイトにしか情報がない状態だと、AIは古い情報や誤解を招く内容を拾ってしまうと指摘。AI時代だからこそ、最新の正確な一次情報を自社サイトというホームベースに置き、AIに正しく読み込ませることが不可欠だ、という趣旨のことを述べています。
SparkToro社自身も、自社製品についてのAIの回答が古い情報をもとに誤った内容になっていると気づき、サイト刷新にあたってヘルプセンターを大幅に作り込んだ——という実例が紹介されています。
今回、私がユーザーとして体験したAI検索の失敗も、全く同じ。ホームである自社サイト、これからもちゃんと手をかけていきましょう。
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