「AI対策」の前に「AI計測」、4段階で考えよう——Japan SEO Conference 2026 #JSC26
この記事のポイントは…
AI経由の流入はまだ少なく、施策の効果測定も難しい。焦って「対策」に大きく投資するのはまだ早い
ただし計測は始める価値あり。クローラー訪問/AI回答内の露出/「AIによる概要」での露出/流入数の4段階に切り分けて現在地を把握する
力技でAIをだますハックは短命。コンテンツと製品を磨いて「人間に選ばれる」のが、AI時代も王道

こんにちは、シックス・アパート ブログ編集長のことぶきです。
7月7日に開催された Japan SEO Conference 2026(主催:Faber Company、ハッシュタグ #JSC26)に参加してきました。去年に続き2回目の、日本最大級のSEOカンファレンスです。
登壇された各社によるこの1年のAI計測データや学びから、一歩踏み込んだ議論が交わされた今回のカンファレンス。まずは、参加してのことぶきの感想を共有します。
AI露出「対策」に本格投資の段階ではない。ただし現状把握のための「計測」は段階を正しく切り分けて始める価値あり。人間に価値あるコンテンツ・製品を提供し、「AIに選ばれる」ではなく「人間に選ばれる」ための王道が、検索にもAIにもこれまでどおり有効。
小手先のハックではなく、AIに想起されるためにもエンティティ(存在感)を高めていくための広報活動が重要という結論は、去年と変わりません。加えて、今年は「どこをどう計測しておくべきか」という点にも踏み込んで考えるきっかけになりました。
AI経由の流入はまだ少なく、施策の評価も難しい
「AI経由流入増加のために、うちも何かしないと」と焦る前に、まず押さえておきたい前提があります。
ひとつは、AI経由の流入は現時点ではまだかなり小さいこと。実際、私たちが長く運営しているサイトの2026年6月のトラフィックを見てみても、AI経由は0.1%に満たない規模です。
もうひとつは、AI施策の成果評価の不透明さです。オープニングキーノート「続・生成AIで検索体験はどう変わるのか?」に登壇したリクルートの酒井亮平さんは、GEO(生成AI最適化)施策の検証を始めてはいるものの、事業貢献の価値を換算できず、検証フェーズを抜け出せないと率直に語られていました。
「AI経由」は4段階に切り分けて計測
「検索に聞く」だけでなく「AIに聞く」が当たり前になり、ユーザー行動の変化は明らかです。なので、自社サイトで何が起きているかの観測は始めておく価値があります。カンファレンス全体の話題を整理すると、AIトラフィックに関する計測ポイントは、大きく4つありました。
1. 読まれているか:AIクローラーのサイト訪問
まずは、そもそもAIクローラーが自社ドメインに来ているかの確認です。「GEO/LLMO時代のテクニカルSEO最前線」セッションに登壇したアユダンテのコガンさんは、サーバーログを BigQuery に取り込んでダッシュボードで可視化し、どのクローラーが・どんな頻度で・robots.txt に従って来ているか、を監視しているそうです。たとえば一部で robots.txt を無視するお行儀の悪いクローラーもあったとのこと。ブロックするならIP単位で、という実践的なアドバイスがありました。
2. 表示されているか その1:AI回答内での露出
ChatGPT や Gemini の回答の中で、自社ブランドが言及・引用されているか。前述のリクルートの酒井さんによると、SEO でこれまで蓄積してきたクエリを各種AIにプロンプトとして投げ、回答内容をモニタリングしているそうです。これに関しては、同様の計測ができるサードパーティの計測ツールも多数出てきているようですね。
3. 表示されているか その2:「AIによる概要(AI Overviews)」での露出
続いて、Google 検索結果内の「AIによる概要」に自社が出ているかどうか。ここは現状、一般のサイト運営者が計測できるデータ整備待ちの領域です。オープニングキーノートでも、最近、Search Console に、検索の生成AIのパフォーマンス レポートが導入されはじめたことに触れられていましたが、段階的にロールアウトされるようです。私たちの環境では、7月中旬時点でまだ導入されていませんでした。それまではAI回答内での露出と同様に、指定クエリで「AIによる概要」の回答内容を定点観測する、という手段になるでしょうか。
4. 来てくれているか:サイトへのランディング数
最後は、AIの回答をきっかけに実際にサイトへ来てくれた流入です。最近、GA4 に AI Assistant チャネルが追加、ChatGPT や Gemini などのAI流入分析が可能になりました。これについては、私たちが管理している GA4 環境でも6月ごろから流入数を計測できています。
ここでの4段階の計測は、ユーザー行動の変化とその推移を知るためのものです。群雄割拠かつ変化が速い現時点のAI環境において、得られた数字をもとに「AI露出施策を打って、改善サイクルを回そう」とするのは、簡単ではありません。あくまで、過剰な期待や的外れな投資を避けるための現在地把握、が良いのではと思います。
おまけ:AIが「存在しないURL」にユーザーを案内してくる
計測の話からは少し外れますが、コガンさんの発表で個人的に「なるほど!」となった小ネタをひとつ。404エラーのログを見ていると、実在しないURLへのアクセスが増えていることがあり、その多くはAIのハルシネーションが原因なのだそうです。AIが回答のソースとして、いかにもありそうな https://(自社ドメイン)/product/feature.html のようなURLを勝手に生成し、ユーザーをそこに誘導する。つまり、AIの案内ミスでユーザーが404にたどり着いているわけです。
対処はシンプルで、404ログを定期的に確認し、アクセスされた存在しない URL からユーザー意図を想定し、近しいページへリダイレクトを設定しておくこと。せっかく興味を持って来てくれた人を逃さないための一手です。
一時的に有効であっても、リスクの大きい施策に注意
非公開のクロージングキーノートの中で撮影が許可されていた、so.la の辻さんによる「現段階 AI検索(紹介)に有効な施策例」のスライドを共有します。

自己言及Listicle(中立的なランキング記事を装いながら、実際には自社製品や自社サービスを上位に配置して自作自演で宣伝する手法)や、アフィリエイト広告の大量出稿など、力業でAIをだますハックが一時的には有効かもしれません。
かつてSEOにおいても、そういったハックが後に無効になっただけでなく、悪質な場合にはペナルティ扱いになることもありました。
AIは賢いので、記事内に単に製品名が書かれているかどうかだけでなく、どのような文脈で取り上げられているか、その記事はどういった位置づけのものなのかまで読めているはずです。見せかけの話題づくりに投じたコストは、どれだけの期間、成果を生み続けてくれるでしょうか。
AIや検索エンジンではなく、人間に選ばれよう
AIによって、オンラインでの人々の検索や行動が変わってきているのは確かです。「対策」に焦る前に、その変化を段階を分けて「計測」し、現在地と推移を把握しておくことには、今すぐ始める価値があります。
今は「AIに選ばれるためのハック」に時間を使うのではなく、コンテンツやプロダクトを磨き、「人間に選ばれる」状態を愚直に積み重ねていくこと。一見遠回りに見えても、これこそがAI時代においても王道だと、改めて感じました。
※もちろん、大規模エンジンに自社サイトをきちんと把握してもらうための基本のテクニカルSEOは行なった上で、です。
来年までまた1年、人間に価値あるコンテンツを発信し、製品の良い文脈を作り、関わる人々との対話などの広報活動を重ね、データを蓄積し、新たな知見と課題感を持って2027年の Japan SEO Conference に参加できるのを楽しみにしています。
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