「米国トップ100ブログの7つがMovable Typeを使っている」という調査結果への私的考察
こんにちは。シックス・アパートの関です。
先週、米TechCrunchで、米Technoratiのトップ100ブログが利用しているプラットフォームを、米Pingdomが調査した最新データについての記事が掲載されました(日本語訳:調査結果:トップ100ブログの半数がWordPressを使っている。)。また今週になって、同じ調査データからの記事がINTERNET Watchからも掲載されました(上位100ブログの半数がWordPress~「TypePadとMovable Typeは消滅」予測も)。
特にINTERNET Watchの見出しの後半部分は衝撃的で、「調査レポートが『TypePadとMovable Typeは消滅』と予測した」と読めてしまいます。実際にはこの予測は、WordPress.comを運営する米Automatticの創業者Matt Mullenweg氏のコメントなので、そこは勘案して読んでいただければと思います。ただ、現在の米国でのブログ・プラットフォームの主流がWordPressであることは疑いようのない事実です。
ただ、せっかくの3年ぶりのレポートですので、この調査レポートを私の視点で少し読み込んでみたいと思います。
さびしいTypePadの急減
TechCrunchの記事タイトルの通り、トップはWordPressで、39ブログが自分でWordPressを運用しており、9ブログがWordPress.com上で運営しています。3年前の調査時がそれぞれ32ブログ、5ブログだったので、この数字からもここ数年のWordPressの隆盛ぶりが伺えます(TechCrunchの記事と数字が異なっていますが、これは調査データがTechCrunchの記事の公開後に訂正されているためです。調査の原文はこちら(英文):WordPress completely dominates top 100 blogs)。
一方のMovable Typeを使ったブログは、3年前の12ブログから今回は7ブログとなりました。2010年9月の米Six Apartと米VideoEggの合併(現・米SAY Media)に伴って、2010年10月に米国でのMovable Typeのサイト構築・運用サービスの提供を終了したため、その後に利用ブログ数が減ってしまったのは残念ながら仕方がないことかもしれません(米国内のパートナー企業である米601am社や米After6 Services社がサービス業務を引き継ぎました)。
なおTypePadは、3年前の16ブログから今回はたった2ブログまで数を減らしています。現在はシックス・アパートと資本関係がない米SAY Mediaのサービスではありますが、2003年から7年間一緒に作ってきたサービスだけに、個人的には非常にさびしく感じています。
Huffington PostなどがMovable Typeを採用
ただ、7つのブログが使っているプラットフォームというのは、単独の製品としてはWordPressに次いで2番目のプラットフォームです。気を取り直して、Movable Typeを利用しているブログを見てみましょう。
2009年の調査
順位 | ブログ名 |
---|---|
1 | Huffington Post |
5 | Boing Boing |
15 | ReadWriteWeb |
28 | TreeHugger |
35 | Talking Points Memo |
66 | The Gothamist |
74 | Beppe Grillo's Blog |
78 | Kottke |
79 | Microsiervos |
91 | Stereogum |
92 | Pharyngula |
96 | Power Line Blog |
2012年には上記の12ブログのうち、5ブログがトップ100から脱落してしまいました。
2012年の調査
順位 | ブログ名 |
---|---|
1 | Huffington Post |
36 | ReadWriteWeb |
40 | The Gothamist |
51 | TPMMuckraker (Talking Points Memo) |
63 | TreeHugger |
76 | Taegan Goodard's Political Wire |
99 | Kottke |
米AOLに買収されたThe Huffington Post(ちょうどブログ初のピューリッツァー賞のニュースが飛び込んできました!)や、米SAY Mediaに買収されたReadWriteWebなどのブログは、買収された後もMovable Typeを利用し続けています。一方、Boing Boingのように古くからMovable Typeを使ってくれていたブログが、WordPressに移行しています。またMicrosiervosのように、2012年に100位以下に転落してカウントされていないもののMovable Typeを継続利用しているブログもあります。
せっかくですので、2009年にMovable Typeを使っていた12ブログが、2012年にどうなったのかをまとめてみました。
2009年→2012年のMovable Type採用ブログの変化
ブログ名 | 変化 |
---|---|
Huffington Post | Movable Typeを継続利用 |
Boing Boing | WordPressへ移行 |
ReadWriteWeb | Movable Typeを継続利用 |
TreeHugger | Movable Typeを継続利用 |
Talking Points Memo | Movable Typeを継続利用 |
The Gothamist | Movable Typeを継続利用 |
Beppe Grillo's Blog | Movable Typeを継続利用(トップ100から圏外へ) |
Kottke | Movable Typeを継続利用 |
Microsiervos | Movable Typeを継続利用(トップ100から圏外へ) |
Stereogum | WordPressへ移行(トップ100から圏外へ) |
Pharyngula | WordPressへ移行(トップ100から圏外へ) |
Power Line Blog | WordPressへ移行(トップ100から圏外へ) |
12ブログのうち、WordPressへ移行したブログは4ブログ、Movable Typeを継続利用しているがトップ100から落ちたのが2ブログという結果になりました(新たにMovable Typeを使う1ブログがトップ100にランクインしましたので計7ブログになりました)。
Movable Typeの「良さ」を伸ばしていく
WordPressは高い評価を得ているブログ・プラットフォームですので、見習えるところがあれば見習っていきたいと思います。ただし、Movable Typeの「良さ」を評価して、使い続けてくださるユーザーがいるのも事実です。シックス・アパートとしては、こうした「良さ」をさらに伸ばしていくことを長期的な主眼に置きつつ、使い勝手の悪い部分などの改善を継続していくつもりです。
また、今回の調査の中心になった米国には、現在シックス・アパートのオフィスがありません。そのため既存のユーザー企業へのサポートがタイムリーに実施できていません。そこでシックス・アパートは5月から、米国にオフィスを開設し、再び米国を中心としたユーザー企業やパートナー企業への支援を強化していく計画です。
皮切りとして、5月8日にシカゴ近郊で開催される2012 CMS Expoに出展する予定です(私も参加予定です)。これからも頑張ってまいりますので、今後もシックス・アパートとMovable Typeをよろしくお願いいたします!
Six Apart をフォローしませんか?