英文メールが捗る"便利な言い回し"や"見落としやすい注意点"をまとめてみた
シックス・アパートは、今年からUSで営業を再開しています。
現地採用のアメリカ人社員もおりまして、彼とこちらとの連絡方法はもっぱらメールです。
また、Movable Type の海外コミュニティや、アメリカ国内のパートナー企業とも日常的にやり取りを交わしています。
使う言語は、もちろん英語。
幸い、シックス・アパート社内には留学経験者や外資系企業経験者が多数いるので、英語でのコミュニケーションに困ることはあまりありません。
きちんと数えたわけではないですが、6〜7人に1人の割合で英語を使える社員がいる感じ。
一般的な企業よりは、英語力がある人の比率が高い気がします。
そこで、社内の英語が堪能な人たちから、「英文メールを書くときに注意していること」をヒアリングしてみました。
文章は、人間関係や、置かれた状況・立場等によって千変万化するものなので、「これが正解だ」と断言はできませんが、長年の経験で身についたスキルとノウハウをご紹介します。
(※編注:Mr. Miss Ms. Mrs. の使い方について追記しました 2012/07/05 14:39 )
■ネガティブ表現を避けるビジネス英語では、基本的にネガティブな表現は避けるべき。
たとえばavoid を keep fromとかに言い換えたりします。
I am sorryもめったに使わず、可能なものはThanks for 〜で言い換えます。
【コメント】
can't, don'tが目立つ文章は、言い訳じみているように取られかねないですものね。
■省略形(I'm とか)を使わない文語では省略形は使わないというのがあると思います。
(相手側は)敬意が払われていないように感じるのかもしれません。
ブログ等の書き込みでもあまり見ないです。
【コメント】
これは、ついやってしまいがちかも。他意はないのに相手の心象を悪くしてしまってはまずいので、注意したいです。
■過去形や受動態による丁寧語英語は基本、能動態と言われますが(というのは主語をはっきりさせるため)、実は過去形や受動態は「丁寧語」的表現手段としてよく使います。同僚ならCan you do that? でよくても、目上の人が相手だと Could you do this?や、I want toのかわりのI would like to〜 になったりします。
あと、よく出てくる受動態の丁寧語なのに省略形というやっかいなものとしてUnderstood (<-- It is understoodの略)もあります。
【コメント】
日本人は基本的に丁寧な表現を心がけるので、このへんは多数の同意を得そうな気がします。
■誤解を招く日付表記に注意7/16を「July 16th」と表記します。
ヨーロッパ英語ではDD/MM/YYYY(例:16/07/2012)と書くのに対して、米語ではMM/DD(例:7/16)です。
3/4が3月4日なのか4月3日なのか間違えやすいので、気をつけています。
【コメント】
無意識に使ってしまいそうなので、要注意です。誤解に気づかないままプロジェクトが進行したらと考えただけで、寒気がしますね。
■文体のトーン最初のメールはフォーマルに書いて様子をみて、先方の文体に併せて、どれくらいカジュアルにできるかを調整する。
相手がアメリカ人でも、強いニュアンスの単語は余程のことがないと使わないようにしています。(このあたり、辞書で意味だけを引いても違いがわかりにくいので、文例を読んで確認)
アメリカ人相手の英語を欧州の人に使うと、ドン引きされることがありますので、欧州の方に英語で書くときには、日本人に書くメール同様の気配りが必要なケースもあります。
【コメント】
自信がなければ、丁寧に書くのがよいという例。知ったかぶりは禁物。
■文章を簡潔にするため、ポイントを伝えたい時は It is構文にするただし、冒頭にポイントを持ってくるのはいいのだが、後半部分に余計な補足文章を長く付け加えてしまいがちな時があるので( to〜やthat 以降)、伝えたいポイントを It is構文でさくっとまとめたら一旦文章を区切る。
Besides、this is the reason why 〜、などで詳細(理由など)を記載するようにしている。
【コメント】
簡潔でわかりやすい文章は、ビジネスの基本です。
■だらだらした文章にしない書く前にある程度、箇条書きにして伝えたい要点をまとめ、それぞれを段落ごとに区切って英文にする。
要点をまとめる時点から英語で考えるようにしておく。段落毎で話が切れてしまわないよう、 接続副詞(besides、however 、 howeverなど)や相関接続詞(not only 〜 but (also)、 either 〜 or、 as well asなど)もうまく使って、文章のつながりに違和感のないようにする。
【コメント】
「つまり、何が言いたいんだ?」と思われないよう、要点はハッキリと。
■挨拶は必要最小限社内の人間に、「お疲れ様です」とか「よろしくお願いいたします」的な儀礼的表現はムダ。
【コメント】
日本人とのメールより、外人とのほうがむしろ短時間でたくさん処理できたりしますが、これが理由かも。
■事実と意見をはっきり分ける「〜と思う」とあいまいに書くのではなく、「個人的意見だけど〜」と断りを入れる。
加えて、意見には根拠も入れるようにする。
【コメント】
あいまいな物言いは嫌われるだけでなく、トラブルの元になりかねません。
■結論が先、説明は後
【コメント】
ビジネスなら、英文にかかわらず当然ですね。
■一文も、メールそのものも短くする淡々とした表現で書き、感情は入れない。(very muchとか不要)
でも、感謝は大げさに表現する。
【コメント】
日本語だと照れくさい感謝の表現でも、英語だと書けてしまうことってありません?
■便利な表現<誰とでも使える>
I will keep you updated (or keep you posted). (適宜情報共有しますよ)
Will it work for you? This will work for me. (これで大丈夫ですか? / これで大丈夫です)
Please feel free to 〜 (遠慮せず◯◯してくださいね)
<相手が社内の人間の場合>
【書き出し】 Hi (米国人にはほぼこれで)
(関係が築けたらHiで始め、Thanksで〆る)【呼びかけ】 相手のファーストネーム。相手が愛称をなのってきたら次回から愛称。
【感謝】 Thank you (or Thanks a lot ) for the xxxxx (cooperation, sending xxxx とか)
【何か(情報)を教えてほしい場合】 Please let me know 〜
【何か(物、書類、データなど)がほしい場合】 May (or Can) I have 〜 ?
【本当に急いでる場合】 メールの件名に URGENT と付ける
【結尾】 Cheers (相手が男性の場合)
【相手先の時間帯が金曜の夕方】 文末にHave a nice weekendと添える
女性ならではの意見もありました。
■日本人らしさ、女性らしさを全て排除しない(女性視点)⇒(グループ会社間、社外の方であっても何度もやり取りが発生し親しみが出ている場合)
春は桜の時期で美しいことや、梅雨でうっとうしい、夏は蒸し暑い、秋は日本の食べ物はとても美味しい、など、日本らしい 季語的な表現を冒頭に少しだけ入れ、日本の文化を伝えるようにしている。
日本に詳しい人は懐かしがってくれるし、日本という国に全く知識がない人も喜んでくれることが多い。「是非訪れてみたいわ」というようなメッセージを一言入れて返答してくれたりするので、 新密度がUPし、 その後のやり取りも非常にスムーズ 、困った時にヘルプも快くしてもらえる傾向にあると実感している。
⇒(目上の方、ほぼ初めての社外の方とのやり取りの場合)
末尾にお礼の表現を丁寧にいれる。 kindlyやappreciate など失礼にあたらない表現を選んで使う。
冒頭に Thank youで初めることもあるが、 appreciateを重ねて使ったりしている。親しくなれば、目上の方であっても、少し季語的な挨拶を入れたりする。
できるだけ、簡素に丁寧に。( I thinkとかI feel など自分の感情は入れないよう気をつける)
【コメント】
女性らしい気配りが感じられます。一朝一夕で身につくスキルではないですが。
シックス・アパート社内(日本)にはアメリカ人のデザイナーがいるので、彼女にも意見を求めたところ、
「Mr., Miss, Ms., Mrs. というタイトルの使い方が大事」と言われました。
相手が「名字でサイン」したら、タイトルが必要です。間違いやすいので注意が必要です。
特に Miss. Ms. Mrs.ですが......・Mrs - 結婚している女性に対して
・Miss - 結婚していない女性に対して
・Ms - Mrのように結婚状態は無関係Miss and Ms はファーストネーム(名前)にも使えます。(例: Miss Hanako)
【コメント】
でも、 Mrs and Mr はラストネーム(名字)にしか使いません。
相手(女性)の結婚状態がわからなければ、Ms がよいということです。ビジネスだと不明な場合がほとんどでしょうから、Ms が無難でしょうね。
エンジニアならではの、こういう意見もありました。
「would like to」と「want to」の使い分けを意識しています。以前は「ビジネス的な使い回しとしては、当然would like toでしょ」みたいなイメージがあったのですが、海外の開発者とメールをしていると、人によっては、「僕がよそよそしい言葉を使っている」、「指示・依頼と解釈されず、やらなくても良い?みたいな感じで、やや弱い『希望』に受け取られた」ことがありました。
いわゆる四角四面なビジネス英語を使うと、逆に相手が構える時があります。
なので、明確に「これやって」と言いたい時は「want to」を使います。
(want to は強く聞こえるので、そのへんの使い分けはまだ勉強中)
海外の開発者は猛者が多いので、コミュニケーションは結構難しいなあと感じます。
腕一本で生活をしている人の中には、言葉が荒い人もいます。
(語弊があるかもしれませんが、職人のようなオトコっぽい世界の言葉みたいな)
そういう人達と会話をしていると、英語が丁寧かどうか、よりも「お前は、きちんとプログラムやウェブデザイン、サーバーエンジニアリングのことが分かっているか」といった点を、重視されているような気がします。丁寧なビジネス英語よりも、ざっくばらんだけど核心をついた言葉を使ったほうが、コミュニケーションが成立します。
「ああ、こいつはある程度、ウェブデザインやプログラムが分かるな」と思ってくれれば、「シックス・アパートの○○さん」ではなくて、by nameで読んでもらえるようになる、とか。多少ブロークンでも、意思疎通ができるというか、そんな感じです。
一般的に、ウェブのコミュニティは世界中にユーザーが散らばっているため、掲示板で使われる英語はブロークンなものが多いし、ブロークンでも通用します。なので、英語圏の人たちとやり取りするときは、できるだけ掲示板や、相手のTwitter、ブログ、Facebookを読んで、相手がどんな仕事をしているか、どんな技術領域があるかを掴んでからメールするようにしています。
【コメント】
"本当の"英語力というのは、こういう場で磨かれていくのかも。
最後は、英語からはちょっと離れた角度からの意見で締めくくりましょう。
■英語力以外のノウハウも大事アメリカ人が相手だと、彼らの興味やメリットと自分が望むことの接点を探して書く方が結果、反応がよいように思います。
日本のような年功序列ではなく、実力主義の社会なので、やはりちゃんと仕事ができるということがわかれば、下手な英文でも結構真剣に読んでくれると思います。(アメリカ以外は経験がないためあまりよくわかりませんが)
帰国子女とかではない限り、なかなかNativeのようには書けないので、最終的には内容勝負にならざるを得ないです。
「表現と同様に、内容でも「デキる!」と思わせることが大事」です。
【コメント】
やっぱり中身がいちばん大事です。
いかがでしたか?
英文メールを書く時の参考にしてもらえばと思います。
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