成功するオウンドメディア運営について、企業ブログ キュレーションサイト『somewrite』柴田氏に聞きました
こんにちは、ことぶきです。
本日は企業ブログのキュレーションメディア『somewrite(サムライト)』を運営するサムライト株式会社代表の柴田泰成さんのインタビューをお届けします。
シックス・アパートも企業のオウンドメディアとしてのブログを支援すべく Movable Type や Lekumo ビジネスブログや Zenback の製品を通してその環境を提供したり、またこの Six Apart ブログを通して実践し情報発信(特にブログ・メディア運営カテゴリなど)しています。
柴田さんご自身のオウンドメディアの実践とそこから見えてきた課題を解決すべく生まれた somewrite は、シックス・アパートの立場からもとても共感し応援したいコンセプトでした。
このインタビューは、特に今実際にオウンドメディアを運営されている方にとってヒントや考えを深めるきっかけがたくさんありますので、ぜひご覧ください。
somewrite メディアを知り、インタビューに至ったきっかけ
2月6日の午後、誰かのシェア経由でとあるメディアにたどりつきました。
名前は『somewrite』、えんぴつがちょんまげになっている、つるんとした月代もかわいいお侍さんアイコンのWebサイトでした。タグラインには「ビジネスや生活に役立つ情報をまとめた"企業ブログ"のキュレーションメディア」。
ピックアップ記事の画像の下には、各社の企業ロゴと[+読者になる]ボタン。
「企業ブログ」という軸でいろんなメディアを束ねるというコンセプト、シックス・アパートとしてはいろんな面でシンパシーを感じ、早速アポを取って赤坂のご近所にあるサムライトさんのオフィスを訪ねました。
柴田さんとメディア somewrite について
Q 柴田さんご自身の経歴について、伺えますか?
-
楽天とリクルートに合計8年おりました。両社で、Webマーケティングの分野の変遷を間近に見てきています。去年開催されたインキュベイトファンドのコンテストで優勝して、独立しました。
昨年9月に起業し、クライアントワークをやりながら somewrite ローンチの準備を続け、2月3日にオープンいたしました。いまは somewrite がメインの事業です。
また個人でも、野球やサッカーのスポーツ動画に特化した『BuzzLive!』というバイラルメディアを運営し、Facebook のアルゴリズムが変わっていく中でどういう投稿がユーザに好まれ、評価されるかを実験しています。
Q どうして somewrite を始めようと思ったのか?
-
企業オウンドメディアを推進したいというのがまずありました。集客の部分と、メディアを作る部分、この2つが大きな課題です。実際にコンサルをやっていた中でも、記事を書いても見てもらえない事が多く、記事とユーザとの接点を作る場所がもっと必要でした。
また、楽天時代に新規事業専任として主に広告系の事業をいくつも立ち上げましたが、この時のターゲティングでおいかけまわしたりする手法やお金で外部リンクを買うSEO手法に、ユーザ視点のなさを感じてもいました。
オウンドメディアを使ってコンテンツ発信していくという新しい潮流は、自分のジレンマを解消してくれる可能性があります。
思えば、Web 1.0 がYahooポータルのように、既存のmediaが集約がする形。次に現れた Web 2.0 では個人ブログが台頭しはてブなどでの人力でのキュレーションが生まれました。
自社のサービスの内容をユーザ目線で語るブログを展開している多数のオウンドメディアで頑張っている記事も集約されるべきだ。Webの流れからしてもサムライトがやらずとも、あるべきと思うサービスでした。
Somewriteは、メディアのシステム部分のみはパートナーに協力してもらいつつ、現在は一人で運営しております。
Q somewrite に掲載されるブログの基準について
-
somewrite は、パートナーの企業のブログから記事をキュレーションして掲載しています。感度の高い友人知人がシェアしているものや、直接彼らから聞いた良いコンテンツのある企業のメディアと直接交渉し、掲載対象としています。
somewrite に掲載される記事は、各メディアのすべての記事ではなく、ユーザ目線で価値あるものだけを選んで somewrite に掲載しています。例えば、内輪ネタだけのものは掲載していません。
また、記事の全文掲載はしておらず、記事の冒頭もしくは一部の記事では要約のみを掲載しています。ですので、企業メディアへはトラフィックを流すのみです。
somewrite が、RSS を登録したり、アカウントをフォローしたりよりずっと手前の、企業メディアに出会う接点になればと思っています。
とはいえ2月3日に公開したばかりのメディアですので、記事の取捨選択や要約の部分は、運営しながら学んでいます。ユーザ目線についても、ペルソナを設定して特定のユーザを集めていく手法でなく、ポータル的にネタを限定せずに幅広く集めて、各企業のファンになってもらう方法を考えています。
Q somewrite が目指しているゴールについて教えて下さい
-
現在は、すぐにマネタイズを目的としているわけではありません。
例えば去年くらいから、Facebook からメディアへの掲載が減っている傾向が見えているなど、やはり他人の土俵(Facebookなど他社メディア)上だけでやるのは難しいなか、開かれたWebの世界で繋げていくことを目指しています。
ゴールは、オウンドメディアの集客プラットフォーム、コンテンツ提供プラットフォームを作りたいと思っています。そのために、どういうものが最適なのかをいろいろ試しながら見つけていきたい。その取っ掛かりのひとつが、キュレーションメディアの somewrite です。
そのためには、Google Adsense のように、ユーザに的確にマッチングし、ユーザのためになる情報提供や、コンテンツ制作の課題を解決する部分もトライしたい。
コンテンツ制作に関しては、クラウドソーシング的に書きたい人と書いて欲しい人をつなぐ場所を提供すればいいというわけではありません。その企業が求めていることやトンマナに合わせつつ、メディア運営のゴールを策定し、効果測定を行うのが大事で難しいところです。単なる人のマッチングだけでなく、交通整理が出来ないといけない。
オウンドメディアへの提言
Q メディア運営は人に依存してしまう面があると思いますか?
-
企業メディアを見てきた中で、うまくやっているメディアはそれぞれのゴールは違っても、きちんと運営され利益につながっています。
こういうメディアは社内に編集部的に動ける人がいる。人に依存している部分です。例えば担当が退職したために、メディア運営が止まってしまう例を見てきました。このメディア運営の部分ををいかに定量的に汎用的にしていけるかが、オウンドメディアが拡大するポイントになっていくのではないかと考えています。
この課題さえ解決されれば、もっと多くの企業にとって有効なマーケティング手段になり、コミュニケーションの考え方自体も変わっていくはずです。
一つの例として、ShopingTribe のように、著名なブロガーを招聘してメディアを始める、というのもあります。
Q 良いコンテンツは誰でも書けるのでしょうか?
-
記事への感度が高い人ほど、書くのもうまいと実感しています。そういう人は、どんな記事がシェアされたり反応が多いのかを、感覚でわかっている。自分が実際にシェアしたものを、シェアした時の気持ちをイメージしながら書ける。つまり、ユーザ目線になれるということです。
企業ブログと名のつくものは多数ありますが、ユーザ目線でないものがほとんどです。
良いコンテンツが有るメディアというのは、Web文脈を理解し日々情報のインプットをしているから、適したアウトプットができるということだと思います。
後記
このインタビューは以前 Facebook Japan が入っていた場所をそのまま居抜きで利用されているという、素敵なシェアオフィスにて行われました。
壁には、 “MOVE FAST AND BREAK THINGS” という、マーク・ザッカーバーグの言葉。
柴田さんがインタビューの最後におっしゃった「2ヶ月後くらいに、新しい発表があります。そのための準備をいま行っています」と新しい展開をすぐに仕掛けてくる勢いは、まさに MOVE FAST です。somewrite に取り上げてほしい企業オウンドメディアの方がいらしたら、MOVE FAST で柴田さんにコンタクトを取ってみるのも良いかもしれません。
企業オウンドメディアの発展を支援するものとして、somewrite にはこれからも注目していきたいと思っています。そして、この Six Apart ブログも somewrite メディアでの掲載が始まる予定ですので、お楽しみに。
2014/02/18 14:21 追記:somewrite さんで、Six Apart ブログの掲載が始まりました!読者登録、お待ちしています。Six Apart ブログ | somewrite (サムライト)
Six Apart をフォローしませんか?