長谷川恭久さんとおこなったMT製品サイトリニューアル顛末記と、見えてきたCMSの課題

 こんにちは。マーケティング担当のさわです。

 先日、Web担当者Forum に、こんな記事が掲載されました。

 長谷川恭久さんには、昨年より、Movable Type(以下 MT)のUI/UXのコンサルティング、sixapart.jp のサイト設計・デザインも含めた、MTのリブランディングをお手伝いしてもらっています。

 そして、長谷川さんがMTの仕事を引き受けてくださった背景には、当時、MT6の重要な機能として計画されていた Data API の存在があり、その考え方に共感した、むしろ、ご自身が以前から同様の考え方を発信されていて、それに合致したからとのこと。

postit_brainstorming.jpg Photo Credit: Lars Plougmann via Compfight cc

 それが、上で紹介したWeb担当者Forumの記事で、じっくりと説明されています。特に「CMSがAPIのようになる時代」の章をお読みいただくと、その「考え方」や、Data API のコンセプトがお分かりいただけるかと思います。

 また、シックス・アパートが Data API の提供を決めた背景については、CTOの平田が、「Movable TypeにData APIを作った理由」で詳しく書いています。ぜひこちらも合わせてご覧ください。

 そして、長谷川さんの記事の後半「CMSらしく使うために Movable Type 公式サイトでやったこと」では、MTの製品サイトリニューアルの際に行った作業を例に、CMSを生かしたコンテンツ設計、ウェブサイトのゴールを見据えたコンテンツ制作の重要性が説明されています。

 このリニューアルの担当者が私でした。長谷川さんと一緒に仕事をした立場から、少しだけ、当時の作業を思い出しつつ書いてみたいと思います。

空っぽの枠組みではなく、コンテンツから考える

 作業のフローについては、長谷川さんが詳しく書かれていますが、今回のリニューアルの方針としては、

MTって何なの? をきちんと伝える
→ MTは拡張性の高いCMSプラットフォームです
→ ブログからエンタープライズの大規模サイトまで幅広く対応可能です
→ セキュアなサイト構築・管理が可能です
→ テクニカルサポートがあります
→ MTに精通した、経験と実力豊富なProNet(パートナー)がいます

これを重視したい、と長谷川さんに伝えました。

 さらに、ゴール、コンバージョンポイントの再確認をし、初めて来られたお客さんは何を見たいのか? そして私たちはお客さんに何をしてもらいたいのか? を話し合い、そこからコンテンツの整理・設計を開始しました。長谷川さんも書かれていますが、リニューアル前のサイトより、かなりの数のページが、今回の動線から削除されています。

 そしてそこから、プロットを見ながら、さらに細かい要望や意見を伝え、ワイヤーを描いてもらいました。こうやって淡々と書いていると、何ともスムーズに事が運んだように思えてしまいますが、実際は結構大変です。お客様目線で作りたい、と思いながらも、「すみません、これは外せないんです」とか「やっぱりここからの動線はあるべきでは?」とか、いろいろな思いや事情は出てきます。そうなると、細かな部分で見解が一致しない場合もあり、週一のミーティングやメールでたびたびディスカッションを繰り返しながら作っていきました。

 それを経て、コンテンツ(原稿)作成に入り、一つひとつ、私が書いたものに対してフィードバックをもらい、修正を重ねました。ここにじっくり時間をかけたことにより、個々のページの細かなデザイン&コーディングには、しわ寄せを食わせてしました。今回のリニューアルは、MT6のローンチと合わせて行うため、お尻はずらせないので、MTでサイトを構築をしてくれているWEBチームが頑張ってくれました。

 無事、何とか2013年10月17日のローンチに間に合ったのですが、さて、リニューアルした結果は、どうだったのか? 今回は「リブランディング」の一環でもあったので、短期的な数字だけが結果とは言えませんが、アクセス解析に基づいた細かな数字は社内関係者で共有しています。良かった点(思い通りの結果が出た点)もありますし、思った結果が出なかった(何も変わらなかった/むしろ逆効果だった)というところもあり、長谷川さんも書かれているとおり、課題も見えてきています。社内から、ああせい、こうせい、の声もたくさん出てきます。

 もちろん、課題が見えている = 改善できる、というものではありません…。WEBマーケティング、WEB制作に携わっている方ならお分かりいただけるかと思いますが、それが簡単にできれば苦労しません(^_^;) 課題を見つけてから、それをもとに仮説を立てて、やってみる、結果を見る、そこから「ホっ… ε-(´∀`*)」「わーい (∩´∀`)∩」「ごめんなさい…(/_;)」を、ひっそり小さなハゲを作りながら繰り返します。

 そうこうしている間に、また製品のバージョンアップがあったり、消費税率が変わったり、世の中も大きく動いていくので、数字とも向き合いながら、終わりなき旅を続けていくのだと思います。

CMSの功罪? コンテンツを届けるプラットフォームとして

 ところで、今回の長谷川さんの記事には「CMSの功罪」という言葉が出てきます。長谷川さんが書かれているようなことだけでなく、他にもいろいろあるかと思います。思想的なものもありますし、「キレイなファイル管理」の破綻といった管理者のストレスの一因になるケースもあるかもしれません。

 例えば、ユーザー企業の更新担当者の方(さまざまな部署に複数いたりする)全員が、CMSベンダーや、サイト制作者の意図どおりに、キレイに運用するわけではありませんよね。かつて、自分や、自分の周囲でもそうだったのですが。誤操作も多いです。社内でテンプレートを触れるところなどでは、行き当たりばったりでモジュールを使用したり、カスタムフィールドを追加したり、機能が開発された際の意図や想定ユースケースなど超越した使い方をしたりします。結果、ディレクトリ構造がめちゃくちゃになったり、不具合、不都合が出たりもします。

 もちろん、MTでは、上に書いたような事態を防ぐためにロール(権限)の設定が可能になっています。それでも、現場の要望にデザイナーが一生懸命対応することで、後々その仕組みに縛られて自分たちの首を締めることになる……なんてことも起き得ます。

 「これはこう使うんだ」と言うのであれば、ユーザーの皆さんを啓蒙、トレーニングする使命もあるのかもしれませんが、極力、HTMLやサーバーに詳しくない更新担当者が、それを意識せずともそうできるようなCMS、が作れると良いのになと思いました。「コンテンツがもっと広がる、つながる、CMSプラットフォーム」として、長谷川さんが書かれているように、より、コンテンツ制作にリソースを割くことができるように。

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