現場のオウンドメディア担当者に聞く「スキルアップ方法」ってどうしてますか?

こんにちは。フリーランス編集者のアミケンと申します。 シックス・アパートのことぶきさんと一緒に「オウンドメディア勉強会」の幹事をやらせてもらっています。
今回は、「オウンドメディアの担当者が伸ばすべきスキルとは?」についてのお話です。

オウンドメディア勉強会等で、「課題と感じている or 今後重視したいスキルは?」についてヒアリングすると、「企画力」「編集力」「ライターのリクルーティングのための人脈」「コミュニケーション力」「スケジュール調整力」etc.という回答が多いです。

一方、オウンドメディア担当者の50%近くは、兼務としてメディア運営を任されていて、基本的に忙しく、「スキルアップのための時間がとれない」「教えてくれる人が社内にいない」「何から手をつければ良いのかわからない」……という方が非常に多いように感じます。

そこで、今回は実際にメディア運営に関わっている株式会社TABIPPOの長沼茂希さんと、株式会社アルバイトタイムスの桑原梨沙さんに集まっていただき、現場担当者のリアルな「悩み」やスキルアップ法について伺いました。

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人物紹介

長沼茂希(写真左)

2014年アイ・エム・ジェイ入社。2015年より株式会社TABIPPOにジョイン。メディア事業部所属。現在は記事の編集だけではなく、サイト周りの数値管理やSNSの運用なども行う。

鈴木健介(中央)

オウンドメディア勉強会の共同幹事。フリーランス編集者として活動中。2016年よりWebメディア編集者を育成するプログラム「アミケン編集塾」を主宰。

桑原梨沙(写真右)

アパレル企業でのマーケティング担当を経て、2016年に株式会社アルバイトタイムスに入社。 現在は、若年層をメインとしたコンテンツの編集、解析、SNS運用などを担当。

人手不足、ライターとのコミュニケーション…現場で困ることは色々ある

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アミケン

どうぞよろしくお願いします。まずは、お二人の現在のお仕事状況について教えていただけますか?

長沼

私はTABIPPO.netという「若い人たちがもっと旅したくなる」旅メディアの編集を担当しています。 当メディアは、現在実際に旅をしている人、あるいは世界一周経験者さんにライターになってもらい、旅に役立つ情報や、体験談を記事として配信しています。私はライターさんと一緒に記事の企画を考え、スケジュールを組み、リリースをして、SNS等で読者とコミュニケーションをとり、反響を分析してPDCAを回す役割を担っています。

桑原

私は現在2つのメディアを担当しています。 1つは静岡の大学生をメインターゲットにしている、アルバイト情報メディア「DOMO NET」のWebマガジン「DOMO+(ドーモプラス)」。もう1つは静岡へのUターン、Iターン検討者向けの「いいとこ静岡」です。 サイト設計・構築、記事の企画・編集、ライター管理、さらにSNS運用からアクセス解析まで一通り自分で担当しています。自分で記事を書くこともあります。

アミケン

お二人とも、業務範囲が多岐に渡りますね。 実際にお仕事をする中で、どんなことで困ることがありますか?

長沼

色々ありますが、ウチはライターさんが世界一周中の旅人さんとかなので、「連絡がつきにくい問題」っていうのがありますね。船の上だったり、国境を越えている最中とかはインターネット環境が整っていないので、原稿を送ってもらえなくて、予定していたスケジュール通りに進行できないというのはよくあります。

同じくコミュニケーションの問題なのですが、こちらがイメージしていたのと違う内容の原稿があがってきてしまうとかですね。記事のオーダーの仕方って難しいなぁ……って思います。

桑原

私も同感です。まず前提として「担当が私しかいない問題」があって、人手が足らないことにも起因しているのですが、ライターさん一人ひとりに、読者が求めてること、どういう取材をしてほしいか、どういう情報を記事として伝えたいかというイメージを共有するには、たいへんなスキルが必要なのだなと実感しています。

スキルアップは本や勉強会などで、自発的にやるのが基本

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アミケン

では、そういった課題を解決するために、これまでどのような勉強とか、スキルアップを図ってきましたか?参考図書とかもあれば教えてください。

長沼

当社の場合は、バイブル的な本があります。『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』(唐木元著/インプレス)を、まずは皆読もうっていうことになっています。カルチャーニュースサイト「ナタリー」で実践されている文章の書き方を解説した本なのですが、企画の考え方にも役立っています。

あとは、編集長の前田塁が不定期で開催してる他メディアとの合同勉強会で、「SNS活用どうしてる?」とか個別テーマごとにディスカッションして勉強させてもらったりとかです。

桑原

私は、昨年の5月に現職に就いて、なにもわからないところから、メディアの立ち上げを担当することになったので、色々手探りで勉強しました。本だと『Webコンテンツマーケティング サイトを成功に導く現場の教科書』(MDN)とか『コンテンツマーケティングの教科書』(日経BPコンサルティング)などを参考にしました。

身近にあまりメディア運営について聞ける人がいなかったので、オウンドメディア勉強会に参加させていただいたり、アミケン編集塾に通わせていただいたりした中で、色んな「現場の疑問」を解決していったかんじです。

アミケン

参考図書でいうと、『エディターズ・ハンドブック 編集者・ライターのための必修基礎知識 (Editor’s Handbook) 』(雷鳥社)、『クリエーター・編集者のための引用ハンドブック』(太田出版)、『記者ハンドブック』(共同通信社)などもオススメです。紙メディアの編集スキルの話だったりしますが、Webメディアでも応用が効きますよ。

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少しずつ工夫することで、仕事が効率化してきた

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アミケン

本を読んだり、勉強会に参加したことで、「成長できたなー」と実感できたエピソードとかはありますか?

長沼

先ほどの「旅人ライターとの連絡つきにくい問題」への対策として、アミケン編集塾で教えていただいた「スケジュール管理法」を応用して、ライターさんの旅程をスケジュール表に落としこんで、「この人は、このあたりにいる期間はネットつながりにくくなるはずだから、原稿提出日はその前に設定しておこう」とか、細やかな対応ができるようになりました。

私も旅の経験があるので、だいたい経験則で「執筆できそうなタイミング、インターネットに接続できそうなタイミング」とかはわかるので、ライターさんに「●●の寄港地に着いたら、とりあえず画像データだけでも送ってください!」とか行動を予測してオーダーできるようになりました。

アミケン

それは素晴らしいですね!そのスキルは、旅メディアに限らず、多忙なライターさんを担当する時にも活かせると思いますよ。お互いにダンドリが可視化できていると、進行がスムースになりますし、何かトラブルがあった際にもリカバリーの目途がたてやすいですしね。

桑原

私は、メディアをローンチした当初は、とにかく「1日1本なんでもいいから記事をだす」ことを使命として、ライターさんに発注することをこなす日々だったのですが、それだとターゲット読者にとって本当に面白い記事を提供できているのか疑問に思うようになり、徐々にクオリティを上げることを重視するようになりました。

具体的には、記事のバリエーションを増やすことと、オリジナルコンテンツを作ることに注力するようにしています。自分で静岡の大学やサークルに訪問し、インタビューなどすることによって記事制作に関わる読者が増え、SNSでシェアしてもらえる機会が増えましたね。静岡の学生さんへの認知度アップにもつながっている実感がもてるようになりました。

アミケン

机の上だけで作業せず、現場に足を運ぶようになったんですね。
読者層の人たちと接することによって、ペルソナの解像度もあがっていきますし、新しい企画アイデアも生まれやすくなるでしょうし、ライターさんに執筆方針を説明するときの説得力もあがるでしょうね。

スキルアップすべきことは、まだまだある

アミケン

現在進行形で、スキルアップに取り組んでいることはありますか?

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桑原

私は、「ライターとのコミュニケーション力アップ」に取り組んでいます。記事を書いてもらう際に、類似サンプル記事を提示するとか、ちゃんと構成案を組むとかですね。取材先を選定する際には、実際に現地に下見にいくこともあります。自分の目で観て、肌で感じた情報があった方が、ライターさんにお伝えする表現方法が増えますし、指示も具体的になるかなと。週に1度は静岡に出張しているので、そのタイミングを活かすようにしています。

アミケン

とても丁寧にお仕事されてますねー!

長沼

TABIPPOでは、もっと「インタビューができるようになる」ことに取り組んでいます。うちのスタッフは、文章は書けるけど写真は苦手だったり、その逆だったり……という人が多いので、皆で少しずつ経験を積みながらマニュアルを整備していって、対応できるようになりたいなと思っています。

アミケン

インタビューは準備の重要性も大きいですし、ヒアリング力も必要ですよね。 TABIPPOの場合、インタビューものは読者ニーズが大きいと思うので頑張ってください!

オウンドメディアの運営体制を整備することも大事

アミケン

今後にむけて、実現したい理想像とかはありますか?

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長沼

誰かに任せられる作業は任せて、自分のやるべき業務に集中できる体制を構築したいですね。 今は企画して、編集して、SNS投稿してといった記事制作の一通りを自分で作業していますが、もっと企画を深く考えたり、メディアの方向性を考えたり、人脈を増やして面白いライターさんを発掘することに時間を使いたい。権限をもって「これをやるぞ!」って決められるようになりたいです。

アミケン

カリスマ編集長的なポジションを狙っていくイメージですかね(笑)

桑原

私も、自分がやるべき仕事にフォーカスできるようになりたいですね。今は雑務や校正とかにとられる時間も多いですし。仕組み化できるところはして、スムースな進行ができるようになりたいです。
あとは、「もっと気軽にアウトプットできるように」なりたいです。アイデアを考えるのは好きなんですけど、実際に記事にする時になかなか書けなかったりするのが課題です。ちょっと完璧主義すぎるのかもですね。自分の中でのハードルを下げて「とりあえず書く」ことができるようになりたいです。

アミケン

自分で記事を書く場合は、編集者的な人を別で手配すると良いかもですね。「誰かがダブルチェックしてくれる」という安心感を得られると、アクションしやすくなると思います。

同じ境遇の人たちと「一緒に学ぶ」メリットとは

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アミケン

お二人は、私の「アミケン編集塾」を受講してもらいましたが、スキルアップになったでしょうか?

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長沼

スケジュール管理の方法とか、ライターへのコミュニケーション方法とか、実務に活かせるメソッドを学べて良かったです。それに他のメディアの同じ境遇の人たちと出会うことができて、「あぁ、みんな同じことで苦労してたんだな」って仲間意識を共有できたことが非常にタメになりました!

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桑原

私は先ほど言ったように、本当にゼロからメディアを立ち上げて、ローンチの時には倒れてしまうくらいの大変さだったのですが(笑)アミケン編集塾では日々疑問に思っていたことを逐一質問することができて、とても助かりました。毎回実践的なワークにみんなで取組み、色んな考え方があるんだな~と実感することもできました。

アミケン

そう言っていただけて嬉しいです!確かに色んなタイプの人が集まるので面白かったですね。メンバーに幹事になってもらって懇親会も開催しましたね。ワイワイガヤガヤすることもあれば、ウンウンうなりながら黙々とワークに取り組んでいただきました(笑) 編集塾で学んだスキルを現場で活かしてもらえたら幸いです。今日はありがとうございました。

(お知らせ)

▽アミケン編集塾について
https://gxllc.tumblr.com/post/149680561667/アミケン編集塾について

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