TumblrとNAVERまとめは似ている
こんにちはいちるです。ささやかだけれどコロンブスの卵的な発見について、簡単に紹介させてください。
「TumblrとNAVERまとめは似ている」という件についてです。
まずは以下のNAVERまとめのまとめ作成画面を見てください。
次に、Tumblrの記事作成画面を見てください。
何か少し、今までのブログサービスと違う点があるのにお気づきでしょうか?
これらのサービスでは、まず「画像」や「引用」など、投稿したい内容の「種類」を選んでから、それに付随するコメントなどを書くのです。
今までのブログサービスとは、ある意味では真逆の発想です。
これまでは本文作成領域という「真っ白なキャンバス」があり、そこにテキストを書くこともできれば、(多くの場合は好きな位置に)写真や引用を埋め込むこともできる、というものでした。そういう仕様になっている根本には、「自由に記事を作れた方がいい」という考えがありました。
「まず投稿したいネタの種類」を選ぶというUIは、不親切でした。「自分のコンテンツの『種類が何か』なんて、普通の人は意識しない。それはシステム都合の分類であって、人間の分け方ではない」「自由にレイアウトできなくてストレスが溜まる」云々。
Voxはメディアタイプを意識した設計ですが、「記事作成時に、まず最初に、そのコンテンツのメディアタイプを選ぶ」とまで割り切ったUIではありませんでした。
しかしNAVERまとめやTumblrが示していることは、人はまず、自分が投稿したいコンテンツの「種類」を選んだ方が気が楽だ、という事実です。Tumblrの創業者、デイヴィッド・カープは、WIRED Vol.4でのインタビューで、こう発言しています。
カープは「何としても」自分の考えを自身のブログに公開したかった。しかし彼はある問題を抱えていた。「ぼくは作家じゃない。書けないんだ。だけど、ぼくには、シェアしたいことがあったんだ」。彼はWPやMTやBloggerなどのブログサービスを試したが、「でっかい空白のテキストボックス』を前にしていつも躊躇した。
(一部編集。WIRED Vol.4 P31)
「自分でつくればいいのかって思ったんだ」とカープは回想する。彼はテキストボックスを捨て、テキスト、画像、リンク、音声、動画といったメディアに応じて、それぞれに1つのボタンをつけることにした。
また、NAVERまとめはそもそもが「ネットのコンテンツをまとめる」というサービスだったために、自然とまずまとめたいコンテンツの種類を選ぶ、という形になったのでしょう。もちろん他にもいろいろなUIの可能性があったはずなので、厳しい選択と集中と排除の過程は踏んだのでしょうが。
ボタンをつけて、画像や動画をアップロードしたり、引用をしたり、リンクURLを貼ったりした後は、それに関連するコメントを好きなだけ書く。何も書かなくてもいい。
こっちの方が、広々としたtextareaに好きなように書けたり、WISWIGエディタで自由にレイアウトできるよりも、書きやすい。
これは「そもそも人間とははそういうものだったのだ」ということなのかもしれませんし、あるいはユーザーがネットやコンピューターに慣れていって、自然とメディアタイプを分けて考えるように変わったのかもしれません。
そしてさらに、そうやって決まったレイアウトで作られたコンテンツの方が読みやすい。フォーマットが決まっていて視認しやすいからです。
よくよく思い出してみると、ブログも当初「バラバラなデザインだったWebサイトが『ブログ的』なデザインに統一されたことで、どんなサイトを見に行っても『ここってどうやって読み進めればいいんだろう』と悩まなくなった」と言われていましたね。
上記のような意味で、NAVERまとめとTumblrはその設計思想が非常に似ていると思いました。
この発想に従うと、両サービスにおいて、それぞれ互いの機能を取り入れるという考えもできますね。
例えば......
- 「NAVER Reまとめ」機能。1つ1つNAVERまとめの中の個々の要素を、横串を刺すようにして集め直して「Reまとめ」を作れる
- 「Tumblrの複数の記事グルーピング」機能。複数のTumblrブログの記事を「まとめてReblog」する。まとめてReblogされたものは1つの記事のように見える。
などなど......
いかにサービス利用の敷居を下げるかについて、新しい発見だったと思ったのでシェアさせていただきました。参考になれば幸いです。
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