親や子どもの価値観や倫理観、あらためて聞いたことある?「お父さんがキモい理由を説明するね」を読んでみた
個性豊かな面々が働いているシックス・アパートですが(本ブログの中の人カテゴリ参照)、その中にひとり、“キモい お父さん” の検索結果を独占し、他を寄せ付けない ブッチギリのキモさを誇るお父さんがいます。
そのお父さんというのは、キモさのあまり(嘘)今年5月に処女作「お父さんがキモい理由を説明するね」を出版した、弊社のマーケ担当でこのシックス・アパートブログのみならず、他媒体でもコラムを執筆している中山です。
書籍「お父さんがキモい理由を説明するね」は、タイトルの通り、彼の中学1年生の娘さんがいかに自分の父親がキモいかを冷静に語っていくところからはじまります。
中山の隣の席に座る、5歳の娘を持つ母ちゃんである、わたくし、ことぶきがママ視点&元娘視点でこの本を読んでみました。
「お父さんがキモい理由を説明するね」って、どんな本?
四十路お父さんが「お母さんにはぜったい内緒にして欲しいんだけど……、お父さん、アタシ告白されたんだ」と中一の娘に夜道で打ち明けられたことから話は始まります。
父親としてうれしさと寂しさの入り混じった複雑な気持ちになりつつも、同時にコラムライターとして「これは素晴らしいコンテンツになるかもしれない」とひらめき、娘に企画案を説明し匿名を条件に2人のやりとりを記事にすることを承諾してもらったのだそうです。
そして、朝のマクドナルドやガストや回転ずし屋で、何度もドリンクをおかわりしながら何時間にもわたって行われた二人のトーク。
Business Media 誠に連載された、彼と娘のマジトークコラム「父と娘の週末トーク:女子中学生と父のマジトーク 「お父さん、アタシ告白されたんだ」 (1/5) - Business Media 誠」は瞬く間に評判を集め出版に至ったのでした。
目次はこんな感じ
目次を読むだけでも、「こんな深い内容を娘(or 家族)と腹を割って話せたことがある?」と自問自答してしまうようなテーマばかりです。
◎ 四十路父さんと十三歳の女子中学生の90日間にわたる奮闘
Chapter 1 父と娘のマジトーク
1 day: 恋愛について、父と娘で話してみた
2 day: 父がキモい理由を説明してもらった
3 day: 夢と目標について、父と娘で話してみた
4 day: 長所と短所について、父と娘で話してみた
5 day: 芸能界入りについて、父と娘で話してみた
6 day: 英語と留学について、父と娘で話してみた
7 day: 友情について、父と娘で話してみた
8 day: いじめについて、父と娘で話してみた
9 day: 生きる意味について、父と娘で話してみた(娘の考え編)
10 day: 生きる意味について、父と娘で話してみた(父の考え編)
Chapter 2 父と娘と妻のマジトーク
1 day: "正しい彼氏の見つけ方"について、妻を交えて話してみた
2 day: "後悔"について、妻を交えて話してみた
Chapter 3 娘とおじいちゃんのマジトーク
1 day: 家系について、おじいちゃんと話し合った
2 day: 後悔について、おじいちゃんと話し合った
3 day: 死について、おじいちゃんと話し合った
◎ 二十歳を迎えたサオリへ送る手紙
たしかに、これはキモいわ(笑)
Chapter 1 では、むすめさんが真面目に、真剣に、心から父をキモイと思う気持ち……じゃなかった、自分の価値観についてを改めて考えて言葉にして丁寧に語ってくれています。それを受け止め、感動しつつも(せめて表面上は)冷静に振る舞う父。
娘「自分の姿をね、二メートルくらい上から見下ろすのをイメージしてよ。」
父「幽体離脱的な?」
娘「真っ黒な寝室で、娘の寝顔に顔を近づけている中年オヤジの姿、想像してみて。親子じゃなかったら、100%犯罪行為なの。自分の行為が、いかに異常であるか、イメージできるでしょ。」
父「冷静な方の脳みそはお前の言うことを理解できるんだが、もう半分が感情を制御できんのだ。」
……さらにこのトークの振り返りとしての父の独白に、以下のような下りがあります。
勘違いされる人が非常に多いので、ひとつはっきりさせておきたいことがあります。それは、「父の娘への異常な愛情は、ロリコンとは一切関係ない」、です。
からはじまり、「ラブからエロスを抜き取ってアガペを培養し百倍に育てたものが父の娘への愛です」云々と3ページにも渡り語り始めるのです。これはキモい(笑)。
とはいえ、むすめさんの父へのリスペクトが素敵
一方で、父親の博識さ、経験、冷静に話を聞いてくれる所を信頼しているのが伝わります。
父「たしかに、脳みそを百八十度回転させる体験は、パニックになるかもね。」
娘「そうなの。あたしにできるのかなあ?」
父「実は意外に難しいことじゃなかったよ。」
娘「(パアッと明るい表情に変わり)えぇっ、どうして?」
(中略)
父「言った先の土地で自分がマイノリティであればあるほど、独自性が際立って有利に働くぞ。考えても見ろ、自国を離れて生活したことのない人間は、いわば井の中の蛙で、視野が狭くなる。サオリに言葉のハンデがあるとしても、向こうは留学生に一目置かざるをえないんだ。なぜなら、自国を飛び出し、母国語以外で学んでいる行為そのものが、すでに大きなチャレンジをしている証拠なんだから」
娘「そーゆー言い方すると、まるでお父さんがカッコよい人みたく映るじゃない。自画自賛もいい加減にしなよ(笑)」
自分の生活を支えてくれているのは当然ながら、一緒に洋楽を聞いて歌詞を語り合ったり、映画やジョブズプレゼンやTED動画などから違う世界を見せ、話しをしてくれるお父さんを、とても頼りにしているのですね。
もちろん、むすめさん自身も本を読み文章を書くのが好きなだけあって、感情やまとまらない意見を言語化することから逃げていません。十三歳の時点での自分の思いを、愛情あふれる父親の手で引き出されて書籍化してもらえるなんて、ほんとうに素敵です。
お母さん、おじいちゃんも交えたトーク
Chapter 2, 3 ではお母さんや、おじいちゃんも交えたトークに発展します。
お母さんは、彼氏の見つけ方4箇条(1.すぐに体を求めてくる男 2.彼女を自分好みに仕立てようとする男 3.趣味や価値観を矯正してくる男 4.金銭感覚がずれすぎている男)や学生時代の後悔と決断について語ってくれています。
さらに、大病を患ったことのあるおじいちゃんには「生死」について、引き継いでいく命について語っています。
こんなに徹底的に家族と話し合える?
ここで一旦、我が身を振り返ってみましょう。
元むすめ視点でかんがえてみると、中一なんていう多感な年頃の女子がお父さんにだけ恋愛の話を相談するなんて、びっくりです。 さらにそれをお父さんの手でネットに書いていい?なんて、マジで無理マジで無理(大事なことなので二回言いました)。 こんな風に話してくれるなんて、よほどお父さんを信頼して尊敬しているのだなと思いました。形になった本を見たら、どれだけうれしいことでしょう。
ママとしては、我が家の5歳がおねえちゃんになった時、こんな風に向い合って自分の思いを伝えあえる関係でいたいなと思います。
本の紹介文には「娘との接点を失っているお父さんのために書きました」とありますが、お母さんも読んでみるといいと思います。自分の横にいる人と、話し合ってみるよいきっかけになること、うけあいです。
最後に中一のむすめこと、サオリちゃんへ
あなたの考えを、お話を聞かせてくれて、本当にありがとう。自分が子供の頃を思い返すきっかけになったし、自分の親とまたはこどもとこういう時間を持ってみたいと思います。ちゃんと話を聞いてくれる素敵なお父さんがいて、うらやましいです。
そして将来、あなた自身の文章を読める日を楽しみにしています。
私の隣のお父さんのデスクには、小さなころや最近のあなたの笑顔の写真が数枚貼ってあります。常にサオリちゃんが目に入る場所で、お父さんは日々頑張っています。今度会社にも遊びに来てね。
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