訪問者に役立ち、SEOにも貢献する過去記事活用の3つのコツ
潜在層に「見つけてもらう」インバウンドマーケティングを意識してオウンドメディアを運営している人にとって、SEO対策は欠かせません。Six Apart ブログでの課題を考えても、「検索評価的にも埋もれている過去記事の再利用は?」「タイトルはどれくらい頻繁に変更してもよい?」「ページランクやオーサーランクやGoogle+って今はどういう扱い?」など疑問は無限に出てきます。
昨年末のセミナーレポート「データ分析で、検索上位ページのパターンを発見!SEOを意識したコンテンツ作り3つのコツ」でも、SEOの実態を統計的アプローチで解き明かし、SpresseoなどSEOツールの販売を行っているアレグロマーケティングの代表取締役の野澤さん、専務取締役の鈴木さんのお二人に、オウンドメディアの過去記事活用という視点でSEO対策について伺ってきました。メディア運営をしているとついつい新記事公開に意識が行きがちな気持ちに活!を入れてもらいましょう。
過去記事の全てにアクセスできるウェブメディアは、コンテンツ資産を蓄積するストック型であるべき。ですが、検索流入がほとんどなく、埋もれているだけで資産になっていない過去記事、ありますよね。
流入がある記事をブラッシュアップして更新したり、埋もれている記事を掘り起こし、最新情報で仕立て直して需要を生む記事にアップデートする。こういったストックコンテンツの価値向上は、SEOのためだけでなく、読者の満足度向上のためにも重要です。
ありがちな疑問に回答してもらいながら、ノウハウを教わってきました。
Q: 更新情報がある場合、関連する過去記事を更新すべきか、新規記事を書くべきか、どちらがいいでしょうか?
サイトコンテンツを更新する際、同じトピックを追記するのか、新規記事を書くのがいいのか。この点については、Matt Cutts氏(Googleのウェブスパムチーム所属。彼のSEO対策に関するアドバイスの動画はSEO関係者必見。現在長い休暇中)が述べていることを要約すると次のように言えます。
(ECサイトなどではその限りではないが、特定のトピックを扱うメディア的なサイトの場合においては)全く同じトピックであれば、追記してひとつのページに集約するのが良い
その利点は2つあります。
1. 1つのトピックに関しては、1つの記事を追記してメンテナンスすることで、リンクをそのページに集められる。ユーザも「このページは放置されず、常に更新してくれる」と分かれば、ブクマしてくれる。
2. 訪問者が戸惑わない。キーワード検索して着地した際に、情報が古い記事があったり、同じトピックの別記事があると最新記事に到達しにくく、わかりにくい。1つのページが常に更新されていると、訪問者からするとユーザビリティが高い。
Q: 検索エンジンに評価されていないページを更新することに価値はある?
もちろん、価値はあります。そのサイト運営のゴールにもよりますが、多くの人に知ってもらいたいという意図は共通しているはず。公開直後の検索順位が低くても、少しずつメンテナンスすることが後々効いてきます。
たとえばアレグロマーケティングが運営するSEOのブログでも、SEOがらみの最新情報を何度も追記しながら、運営してきました。Googleが発言した内容を受けてコンテンツを追記&修正すると、ある時からポンと検索順位が上がることがありました。扱うトピックの範囲が広範囲であると難しいのですが、専門的なトピックを扱うブログであれば、(現時点で)集客力のないページであっても、新しい情報を追記しておく価値は十分にあると思います。
今は検索エンジンもコンテンツの品質を見ています。高品質なコンテンツとはどういうものかを知るには、ご自身が狙っているキーワードで検索してみて、トップ10の記事を熟読することが手っ取り早いです。「ここまで詳しく書いているのか」と学び、足りない情報を補足しつつ、他にないものを追加で書いていくと良いでしょう。
上位の記事と差をつけるポイントは、やはり”専門性”と”情報の鮮度”ですね。
Q: ソーシャルでシェアされることは、記事の信頼性向上につながりますか?
拡散の度合いは見ていますね。シェアされていればいるほど結果的に信頼性が高いと判断されているように感じます。ただし、Facebook や Twitter が他と比べて特別なランキングファクターではありません。
弊社が4月に書いた「GoogleはtwitterやFacebookのリンクを順位指標としているか?」の記事でGoogleがFacebookやTwitterを特別なランキング要素として扱わなくなった経緯をまとめてます。
TwitterもFacebookも仕様が頻繁に変わるので、順位要素とするには不安定だということだと思います。
また、Twitter、Facebookどちらも投稿したURLにはnofollow属性をつける仕様となっていますので、リンクを通してページ間の評価を受け渡さない仕組みとなっています。
だからといって不要だというわけではなく、人の目にふれるということは重要で、よいコンテンツであればソーシャルで広まり、ブックマークや参照リンクも増えていきます。
Q: Google はウェブサイトのPVやサイトの構造は見ているのでしょうか?
Googleはアナリティクスのデータを活用していないため、PVは見ていないはずです。ということは、PVが少なくても、特定のキーワードに対してコンテンツが充実していれば、検索順位で上位を狙えるわけです。ただし、そもそもそのキーワードにライバルが多いかという相対的な部分もあるので一概には言えませんが。
加えて、Google はサイトのレイアウトも見ており、サイトのフッターやサイドバーがどこかを認識しています。そこにあるリンクは被リンクとしてカウントしないので、本文内のアンカーリンクを増やしていくのは有効な施策だと思います。
サイトワイドリンクと言いますが、被リンクとしては一定数を超えるとカウントされなくなるため、本文内に、手動で設定したアンカーテキストリンクを増やしていく事は有効な施策だと思います。
こちらに関しても、Matt Cutts氏の発言をまとめた記事がありますので、ご参考までに。「Googleはフッターやウィジェットのリンクを評価するか?」
「サイトワイドバックリンクをGoogleはどのように評価するか?」
Q: 更新していくときのコンテンツの長さは気にすべきでしょうか? 例えば、古い情報は消して短くすべき、など。
消すかどうかは、情報の種類によります。明らかに過去の情報に何の価値もない場合は消して構いません。余分な情報を詰め込むと、訪問者にとってわかりにくく、早期の離脱や拡散されないことなどにつながってしまいます。ユーザ視点で考えて判断すべきだと思います。
たとえば、ビックワードを狙ったページは、いろんな情報を詰め込みすぎて文字量が多いページになりがちです。これも、ビッグワードのSEOの手法の一つではありました。
ですが今や、2ワードでも上位表示への難易度が高い場合が多くなってきています。ウェブサイト内のコンテンツが少ない状態であれば、ロングテールSEOを狙うという意味で、まずは3ワードを意識したコンテンツを作っていくとよいと思います。
3ワードの検索ワードを意識して制作するとコンテンツのトピックが絞られ、キーワードにマッチした訪問者を集めやすいということもあります。
Q: 記事を更新したことを Google に教えるためにはどんな方法がありますか?
アレグロマーケティングで実践した例で言えば、他サイトと比べ明らかに古かった記事も含め記事公開日を表示しはじめたことで、検索順位が下がったことがあります。そこで、公開日ではなく更新日に変更したことで順位が上がりました。現在も作成日ではなく、最終更新日を出しています。ユーザ視点を考えると、作成日と更新日、両方あってもいいですね。
ただし、小さな修正をして更新日を頻繁に変更することには意味がなく、おそらく検索エンジンからも評価されないと思います。大幅に更新した場合には、訪問者にどの時点の情報かを示すために、更新日をアップデートしましょう。
また、先日、Googleがアナウンスしていたのですが、sitemap.xmlのみならず、RSS/Atomフィードをサーチコンソールに登録しておくことを推奨しています。
この件に関しては、「Google ウェブマスター向け公式ブログ: XML サイトマップと RSS/Atom フィードのベストプラクティス」に公式の情報が掲載されています。
sitemap.xmlはサイト全体の構造、RSSフィードは新しいページ公開や既存ページの更新をGoogleが認識するために使っています。
Q: 最後に、御社では日々どのように過去記事のメンテナンスを行っていますか?
アレグロマーケティングでは、1コンテンツ1複合キーワード(1トピック)を意識してウェブサイトを運営しています。各コンテンツが検索エンジンにどのように評価されているかを知る為に、SEOツールのSpresseoを社内で活用してキーワード推移の確認や、被リンクチェック等を行っています。
たとえばあるページの検索順位が徐々に落ちている場合は、コンテンツが競合と比較して相対的に古くなっている状況が考えられます。
このような時は、もう一度訪問者目線でどのようなページが役に立つか考えてメンテナンスを行います。
SEOの効果や現状把握などの確認作業はSpresseoなどのツールを活用してシンプルに効率化し、できるだけ訪問者に役立つコンテンツを作成することに時間を費やすことが重要かと考えています。
まとめ:過去記事活用のポイント3つ
以上、過去記事の活用について伺いました。ポイントをまとめてみます。
- 過去記事に更新情報がある場合、全く同じトピックであれば過去記事に追記
- サイト全体で、特定トピックへの専門性と情報鮮度を高めていこう
- 更新日をお知らせするために、RSS/ATOMフィードをサーチコンソールに登録
専門分野の特定キーワードについて深く頻繁に更新していくことで、専門サイトとしての信頼を高めていく。そして、だんだんとキーワードを増やして専門の範囲を広げていく、ということの重要性を学びました。
新記事ばかりに意識を取られず、過去記事も最新情報のアップデートなどメンテナンスしましょうって書くと、「なんだそんなことか」と感じるかもしれませんが、地道な作業をコツコツをきちんとし続けるって意外に大変です。
Six Apart ブログも、サイト内の本文リンクの活用、RSS/ATOMフィードの登録など、過去記事更新を時間を確保して、きっちり行うことにしました。アレグロマーケティングさん、ありがとうございました!
2015/09/09 追記
RSS/ATOMフィードをサーチコンソールに登録する作業について、ネタフルさんが、設定方法を記事にしてくださいましたのでご紹介します
「[N] SEOにも貢献する過去記事活用についての記事を読みサーチコンソールにRSSフィードを登録してみた」
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