Kindleの自作出版、売上アップのための「デアゴスティーニ戦略」とは

こんにちは。マーケティング担当の伊藤大地です。

自分で電子書籍を制作し、販売できるAmazonのプラットフォーム、「Kindle ダイレクト・パブリッシング」(以下、KDP)が10月末にサービスインしてから早4か月が経ちました。

サービスリリース当時に、Six Apart ブログでも、「Amazonから著者に支払われるのは35%」という内容のエントリをお届けしましたが、現在は著者への支払いが従来の35%プランに加え、70%のプランも選べるようになっています。ただし、70%のプランは電子書籍のデータ量あたりの「通信料」というコストが別途、収益から差し引かれる、最低販売価格は250円、Amazon独占配信にしなければならない、など条件が付きます。

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各プランの詳細はAmazonの規約ページを見ていただくこととして、この、2つのプランをうまく使いつつ販売している様子を、漫画家の鈴木みそさんがブログに記していますので、ご紹介したいと思います。

鈴木みそさんは、マンガ「限界集落温泉」の1巻を100円(つまり35%プラン)で、続きの2巻以降を400円の70%プランで販売。最初の巻を安価にして認知してもらい、2巻以降につなげてこちらで主な収益を上げようという、ご本人曰く「デアゴスティーニ戦略」というモデルです。

1月の販売報告エントリでは、1巻が10298冊、2〜4巻が9880冊販売されたと書かれていて、一定の成功を収めているようです。このモデルだと、1巻から継続して2巻を購入する人の率が収益のキモとなりますが、このことについてもエントリで以下のように、詳しく述べられています。

あと、ディアゴスティーニ戦略ですが、1巻に対して2巻、3巻、4巻はどのくらい売れているのか。
以前2巻に繋がった人は17%が22%に上がったと書きましたが、今は26%!
400円に上ったのに、続けて買ってくれてる人の数が増えているのはすごくうれしい。4分の1以上の人が繋がった。1巻がたくさん売れるよりずっとうれしいです。
そして2巻から3巻は同じ82%で変わらないんですが、4巻、最終巻は
96%

すごい! 最後まで読んでくれてありがとうございました。

4人に1人が、2巻以降も継続して購入した、というのはすごいですね。ちなみに、2月の売上報告エントリで、「3月に入ってからは週次の売上が8割減」とのこと。発売時だけの勢いではなく、リテンション策も考えなければならないようです。ブログでは、マンガをKDPで売るためのフォーマットから、実際の収益構造の考察まで、実践に基づいた体験記が盛りだくさんなので、KDPに興味のある方にはおすすめです。

なお、KDPで販売する際のノウハウは、いろんな方が模索しており、中でも「70%ルールの最低金額の250円で、それに見合う分量に細かく分割して売れ!」というのが鉄則化しているようです。

鈴木みそさんの「限界集落温泉」では、なんと、Movable Typeが登場するコマがあります(笑) ご紹介いただき、ありがとうございました。

girigiri.jpg

※追記 2013/03/21 15:42
ブログの記事をKindleで読めるようにする、Send to Kindleボタンが、Amazon.comから発表されました。さっそく試してみましたが、Amazon.comのアカウントでしか利用できないようです。

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