元・記者から見たオウンドメディア運営の勘所は「職場環境の改善」!?
こんにちは、シックス・アパートの関です。
先日「元・記者の目から見た企業オウンドメディア運営の勘所」というプレゼンテーションをしました。この中で「オウンドメディア運営のカギは、職場環境の改善」という珍説(!?)を掲げてみました。
さて「職場環境の改善」が、どうしてオウンドメディア運営につながるのでしょうか?
ブログやソーシャルメディアで社員が積極的に発信
シックス・アパートにはたくさんのブログや、ソーシャルメディアの公式アカウントがあります(公式アカウント一覧はこちら)。
さらに社員が個人のブログやソーシャルメディアで情報発信することを支援するため、ソーシャルメディア利用ガイドラインを設けており、その上で希望者の個人アカウントを、会社のウェブサイトで公開しています。
これは、シックス・アパートの会社そのものや、Movable TypeやLekumo、Zenbackといった製品・サービスに対して、社員ほど深い造詣がある人はいないし、なによりも愛着があるだろうというところからスタートしています。
つまり、ソーシャルメディア利用ガイドラインにのっとっていれば、会社や製品について率直な意見(いいところも悪いところも)を表明できる下地があるわけです。
業界の知識を提供することで、業界そのものを盛り上げる
そんな中、会社や製品について自主的に情報発信している社員が、ソーシャルメディアよりもしっかりしたコンテンツを定期的に「会社ブランド」で発信できる場所が、シックス・アパートのオウンドメディアである「Six Apart ブログ」です。
オウンドメディア運営で非常に重要なのが「継続してコンテンツを提供していけるか」という問題です。最初は熱意があって毎日のように更新されていたが、そのうちに更新されなくなったブログは、星の数ほどあるでしょう。実際、どうやって継続していくのかというのは「Six Apart ブログ」でも大きな課題です(詳しくは「オウンドメディア「Six Apartブログ」の運営の実態を、INBOUND MKTG 2013でお話しました」でどうぞ)。
Six Apartブログは、自社や自社製品の話にとどまらず、業界誌が書くような業界のトレンドや、まとめ記事なども積極的に発信できるようにしています。これは、業務の中で絶えず業界についての知識を蓄えていき、社内でシェアすることで会社にとってメリットがあるのであれば、社外の方々にもシェアすることで、より多くの方にメリットが出るのではないかと考えているからです。
最近は紙の雑誌は少しずつ姿を消し始めています(紙雑誌出身の私には寂しい限りです)。雑誌の経営に余裕があったときにはできていた業界横断的な記事は、ウェブ記事で評価される「スピード(速報性)」と「読みやすさ(記事の短さ)」の前に、質・量の両方で駆逐されているような気がします(十分な取材時間が取れない=質の低下。長い記事が読まれにくい=量の減少)。
でも、シックス・アパートのように、主に企業向け製品を提供している企業にとって、業界に関する情報が減っていくことは、自社製品が属する業界そのものの縮小につながりかねません。
一方、社内を見ると、製品開発のために、最新の業界情報に詳しい社員は少なくありません。
そんな社員が積極的に業界情報を発信する場として、シックス・アパートのオウンドメディア「Six Apart ブログ」を運営しているわけです。
社員が楽しく仕事をして、会社や製品について気軽に友人に話せる環境
こういう運営方針でオウンドメディアを立ち上げるのは、意外にも簡単にはいかないようです。実際、「オウンドメディアを立ち上げたいのですが、上司の理解が得られません」「投資対効果(ROI)が分からないので開始できません」というお話をよく伺います。
シックス・アパートのオウンドメディア運営をとって考えると、「モティベーションを高めて楽しく仕事をする」「仕事の面白さを友人・知人に積極的に伝える」ということが、オウンドメディア運営の中核になっています。
これ、見方を変えると、「楽しく働きがいのある職場像」なのではないかと思います。
つまり、「社員を巻き込んで、社員が積極的に発信するオウンドメディアを作る」ということは、「社員が楽しく働きがいのある職場を作る」ということと、かなり似通っているのではないかということです。
理想論に聞こえるかもしれませんが、こういう視点でオウンドメディア運営を、楽しい職場環境を作るためのタスクフォースにしてしまえれば、大変意義深いのではないかと思っています。社員がいなくなってしまえば、会社そのものが成立し得ません。
経営課題そのものという認識で、オウンドメディアの立ちあげと運営を進めていくということです。
みなさん、どうお考えでしょうか? TwitterやFacebook、はてなブックマークなどでご意見をお寄せいただければ幸いです。
<追記>
昨晩、オンライン講義の講師をさせていただき「企業ブログやオウンドメディアの役割と運営の勘所」という講義をさせていただきました。その質疑応答の中で「オウンドメディア運営にあたって経営陣は何をするべきか」というご質問をいただきました。私からは「会社が、社員が積極的に業務に関する情報をインターネットで発信することを奨励し、さらに守っていくという姿勢を出さないと、社員が積極的に発信するオウンドメディアの運営はうまくいかないでしょう。シックス・アパートではソーシャルメディア利用ガイドラインで、その点を明記しています」と説明しました。もちろんガイドラインの中では、秘密情報や顧客情報を開示しないことや、誹謗中傷などはしない、ということも併記されています。しかし、必要以上に情報公開を渋ってしまうと、オウンドメディアが運営できないどころか、社会から企業が信頼されなくなってしまう可能性もあります。
経営陣や広報にとっては難しいことかもしれませんが、やはり第一歩目は、社員が積極的に情報発信することを後押しすることではないかと思います。
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