2014年エイプリルフール企画『Movable Type Sun』を例に、企画の立て方・進め方全部公開します!

こんにちは。毎年4月1日に各社が創意工夫とサービス精神を発揮して盛り上がるエイプリルフール。今年からその担当になったことぶきです。

シックス・アパートは、2008年くらいからエイプリルフールには何らかのネタを仕込んでまいりました。お祭り好きなのだと思います。

今年企画した「Movable Type Sun」も、おかげさまで想定通りの(つまり想定の範囲内に収まる程度のw)ご反響をいただき、無事終了いたしました。

この企画は、2011年までの企画担当者は退職してしまってほとんど何も継承されてない0の状態から、企画を立ち上げ、走り回って各所の協力を得ながらものを作り、公開いたしました。もろもろ終わって一息ついた今、改めて私たちが何から企画を作り上げ、どんな成果を得て、どんな課題を残したかをまとめます。

来年はエイプリルフール企画が降ってくるかもしれないと戦々恐々としている各社のマーケ・広報の皆さまの参考になれば幸いです。おそらく来年の2015年2月くらいになって「やばい、ネタ作らないと!」と焦り始めた時にお役に立つかと思うので、その時のために今のうちブクマしておくことをオススメします。

まずはネタの参考までにこれまでと今年の企画を、ざっくり振り返ってみます。

2008年:住職の募集

住職の募集

2009年:やる夫がMovable Typeをアップグレードした理由

やる夫がMovable Typeをアップグレードした理由
(全ページキャプチャしたスクリーンショット

2010年:スーパーホームページテーマ 1.0の配布と、しっくす・アパートの部屋ページ

スーパーホームページテーマ 1.0の配布と、しっくす・アパートの部屋ページ<

2011年:シックス・アパートでは、毛筆でコードを手書きして開発している動画

で、2012・13年はいろいろあっておやすみしましたが、今年2014年は満を持して、エイプリルフールという名の、ネタと釣りあふれる戦場に復帰いたしました。

今年の企画は、2014年:『Movable Type Sun』リリース&稼働状況リアルタイムレポート

今回は、「太陽光発電で動作する超省エネ&超小型アプライアンスサーバー Movable Type Sun をリリースしました!」ということで、製品ページ「Movable Type Sun」を構築し、当日朝から実際にMT Sun上で太陽光発電で運用しました。

あわせて、このSix Apart ブログ上で「【Movable Type Sun 堂々誕生】 電力コスト脅威のゼロ円、ケチケチ最小サーバー運用をリアルタイム更新中 - Six Apart ブログ」という記事を展開。1時間に1-2回、稼働状況や、仕込んだコネタを小出しにしておりました。天気もよく、太陽光も十分受けて、トラブル無く安定して動いちゃってそれはそれで微妙でしたが(笑)

では、ここからは具体的にどんなステップでこの企画を進めていったかをご紹介します。

1. 伝えたいことと、その手段にエイプリルフールが最適かを考える

エイプリルフール企画を進めるにあたって、最初に考えるべきことは「エイプリルフールにネタ企画をやるべきかどうか」です。

4/1に限らずおもしろマーケティングをよく見る昨今、あえてエイプリルフールに乗っかる意味を考えてみましょう。メリットとデメリットを考えてみると、こんなことが挙げられます。

メリット

  • エイプリルフールまとめメディアに掲載される
  • 既存のサイト訪問者と違う層にリーチできる
  • 普段堅いイメージの企業も、この時だけははじけられる
  • 普段の業務では使わない隠された能力(映像、音楽、機械工学、手芸その他)を活用できる
  • 部署をまたいだタスクフォース的なチームを作りやすく、他チームのメンバーの働きぶりを知ることができる

デメリット

  • 気合の入った他社企画に埋もれるかもしれない
  • 同じ企画ならエイプリルフール以外にやったほうが目立つ
  • 社員が楽しめない企画だと、士気が下がる
  • 年度末に準備して、4月1日という新年度のはじめの日に祭りは時期が悪すぎる

つまり、「伝えたいメッセージを提供する方法として有用か?」そして「それを社員が楽しめるか?」、この2つにYESと答えられるならばエイプリルフール参戦は十分検討に値すると思います。お祭りだから、特に後者が大事です。え?「毎年、4月1日は組織改編やら新入社員を迎えたりで、そんなことやってる場合じゃない」その通りです。本当にその通りです。

さて。これらを踏まえた上で、メッセージを伝えるための手段としてエイプリルフールが最適である、楽しいからやりたい、という結論が出たのであれば、あとは前だけを向いて進みましょう。

2. メッセージと対象に合わせた企画を考える

「やる!」ことがきまったら、次は企画です。

企業エイプリルフールのメッセージのベースには、たいてい「会社/製品のユニークな特徴を、笑いを交えて伝えたい」というのがあります。

そして、そのメッセージを誰に届けたいのか。その2つをベースに企画を考えていきましょう。

もしくは思いついてしまったネタ企画を、このメッセージと対象に届くように味付けしていきます。このパターンの方が多いかもしれません。

私たちも今回「Raspberry Piで何かできたらいいよね」「太陽光でMTが動いたら、超エコ(ロジー&エコノミー)だよね」くらいのところから、企画をはじめました。言い出しっぺが、その場でスマホで必要機材を見積もり現実的か判断。何をやるか、はこれで決まりました。

その後、「Movable Type Cloud の存在感向上」と「本社機能海外移転とそれに伴う代表交代」の2つのメッセージを、これまでお世話になっている Movable Type ユーザー・パートナーへ周知したい、というのを目的としました。

「省エネ&省スペースのMT」というネタの勢いは殺さず、さりとて言いたいメッセージはちゃんと入れ込む。そこのバランスを取るのが大事です。

今回私たちは、以下の3つを入れ込むことを意識しました。

  • 「Movable Type Cloud」と対になるよう製品名を「Movable Type Sun」とし、製品ページを徹底的に似せる
  • 本社機能米国移転をネタにした小芝居を演出し、写真入りでストーリーを入れ込む
  • MTのコアなユーザーの人に反応してもらえるようトラックバック受け付ける仕掛けを入れる

3. ゴールを決める

「楽しければOK!」 いや、それもそれでいいんですけれど、やるからには皆が同じ方向を向くためのゴールを決めましょう

たとえば、シェア数、目的のページヘの流入数、特に反応して欲しいこの10人中n人以上反応してもらう、問い合わせ獲得、トラックバックをもらう(というような企画に合わせた指標)などがあります。

4. 周知して、追加の仲間を集めつつ、企画を進めていく

このあたりまでの内容が決まってきたら、エイプリルフールを実施すること、メッセージやその対象、企画内容などを社内に広く広報します。全社員宛メールで伝えたり、イントラコミュニケーションツールで伝えたり、ランチタイムや立ち話のネタに振ってみたり。多くの人に、企画を知ってもらいます。

こんな風に社内へネタを先に伝えておくと、「こういうネタも入れたらどう?」と声をかけてくれる人が現れたりするものです。意見や、あわよくばヘルプをたくさん受け入れて進めましょう。エイプリルフールは誰にとっても、サブワーク。できる範囲で無理なく多くの手を使って進めたいものです

写真や動画や音楽などは得意な人がいたらアドバイスを乞うてみたり、機材を貸してもらったり、作曲を手伝ってもらったり。いろんな協力を得ることで、社員の知らなかった才能などを知ることができるのも、大きなメリット。

5. エイプリルフール当日、ネタ公開とメディア告知

年度末の忙しい時期に準備して練りに練ったをネタ公開したら、次は告知です。自社のソーシャルアカウントで紹介はもちろんですが、メディアへの告知も大事です。

エイプリルフール まとめ - Google 検索 あたりで検索するとわんさかまとめ記事が出てきます。いくつかのメディアはTwitterやFacebookページなどで、「エイプリルフールネタ、リークお待ちしています」というようなお知らせをしていたりするので、事前に伝えられる範囲で予定ページのURLや企画内容を知らせておくと良いと思います。

事前通知していたメディアには企画公開後に改めて、企画詳細の説明メールを送るとばっちりですね。

メディアにお知らせすべきポイントをまとめてみました。

  • 会社名
  • 担当者名と連絡先
  • 企画名
  • サイトURL
  • ネタのポイント

特にネタのポイントは、紹介記事を書いて頂く際に重要です。たとえば今回の「Movable Type Sunならば、「弊社既存製品Movable Type Cloudを(距離的に)超える製品として企画した」と書き添えて、何がおもしろポイントなのかを記者さんに正しく伝えます。

6. エイプリルフール終了後

やりっ放しにしないために、当初定めたゴールに対しての達成度と、Keep(次回もやろう!)、 Problem(問題点があったので次回は対策しよう)、 Try(次回はこんなことも挑戦したらいいかも) をまとめましょう。

フィードバックは、企画の中心メンバーはもちろん、少しでも関わったメンバー全員に、お礼も兼ねて周知したいですね。エイプリルフールで得られたもの・学んだことが、今後の業務に役立ちますように、という願いを込めて。

まとめ

この記事でお伝えしたかった大事なポイントは以下のとおり。

  • メッセージを伝える手段としてエイプリルフールが有用、かつ企画チームが楽しめると判断したなら、参戦しよう!
  • きちんとメッセージを盛り込もう 但しネタの勢いを殺さない程度に
  • でも、やっぱり4月1日なのは、ほんとやめて欲しい

エイプリルフールでなくともおもしろマーケティングをよく見る昨今、猫も杓子もお祭り騒ぎに食傷気味と言われておりますが、弊社は今年も実施してよかったと思っております。踊るなんとやらになるのも悪くないものです。

以上、現場からお伝えしました。

おまけのエイプリルフール関連記事

Six Apart をフォローしませんか?

次の記事へ

CCO(チーフコンテンツオフィサー)という役職とは?その役割を考える

前の記事へ

すべての導入事例には、ドラマがある