オウンドメディアのコンテンツとネイティブアドの親和性についてログリーに語ってもらいました(後編)
言語解析技術を応用したメディアのレコメンドシステムを開発するログリー社に、前回は「ネイティブアドの利用目的・効果・バナー広告との訪問者行動の違い」を語っていただきました。
後編では、ネイティブアドの正しい使い方、コンテンツの作り方、オウンドメディアのコンテンツ、ネイティブアドの親和性について、引き続き代表取締役の吉永さんに語っていただきます。
前編はこちら
ネイティブアドの利用目的・効果・バナー広告との訪問者行動の違いなど、広告プラットフォームを運営するログリーに語ってもらいました
ネイティブアドは読者をがっかりさせてはダメ
読者の期待を裏切ったら、ネイティブアドとしては失敗です。一見、コンテンツの体(てい)をしているけれど、じつは単なる広告文章を記事風にレイアウトしただけってモノも見かけます。このスタイルだと従来の広告用ランディングページの延長線でしかなく、うまくいかないものです。
いわゆるランディングページのキャッチコピーなどを、”記事風”に置き換えただけでもだとダメですよ。俗に言う「釣られた感」を読者に味わわせてしまい、マイナスイメージしか残りません。
「このコンテンツはスポンサードされていますよ」というディスクローズ表記は必須。広告であっても、客観的かつ正しい知識を訪問者に伝えようと努力している記事であれば、嫌な気分にはならないものです。嘘をついたり、誤魔化そうとすると、たちまち見抜かれますね。
ちょっと前までは、ステマまがいの記事がネイティブアドとしてまかり通っていたこともありました。そういった風潮を是正するために、国内の業界内のルールを整備する目的で「JIAA」というの中にネイティブアドの研究会が発足され、ガイドラインを作っています。
ネイティブアドは正しく使ってほしい
ネイティブアドは、「ネイティブアドにふさわしい使い方」があります。ディスプレイ広告とネイティブアドは別物であり、ネイティブアドを従来と同じやり方で使おうとすると、ぎこちなくなってしまう。
「従来のディスプレイ広告に反応しない人を振り向かせたい」という狙いが、ネイティブアドが誕生したそもそもの背景です。これまでのスタイルの広告がクリックされなくなっているのはマーケティング上の課題ではあるのですが、一方で煽り過ぎなデザインや内容に読者が辟易してしまっているという問題もあるんです。広告は、やはりクリックしてもらってナンボですので、ここを突破したいわけですね。
“有益なコンテンツ”というワンクッションを置くことで、企業や製品に好感をもってもらうことがネイティブアドの目的です。ディスプレイ広告を「見え見えの広告だから踏まない」と避ける人を、遠回しにお連れすることができるのがネイティブアドの良さなのに、その努力を怠って従来の広告のような使い方をしてしまうと、ネイティブアドという手法さえも嫌われてしまいます。
「どうやってコンテンツを作るのか?」が課題
コンテンツを単発で作るという施策であれば、継続的な運営は不要でしょう。しかし、オウンドメディアとなると継続が前提ですよね。ネタを産み続けるのはラクではないし、それなりの質のコンテンツを量産するにはそれなりの編集体制が必要にもなってきます。
社内のリソース・人材確保は一筋縄ではいかないこともありますが、最近は外部リソースも充実してきているので、企業内でつくらずに委託することも可能です。
ただ、予算をかけてオウンドメディアを立ち上げても、最初はゼロからのスタートなので、思うように集客できないケースも珍しくありません。軌道に乗れていないローンチ直後はトラフィックをブーストするために、ネイティブアドでトラフィックを稼いで、訪問者にリピートしてもらうとメディアの成長期間を短縮できます。そういったネイティブアドの利用方法もあります。
オウンドメディアのコンテンツは、ネイティブアドに適している
オウンドメディアとネイティブアドの親和性は高いですよ。オウンドメディアのコンテンツは一過性ではないものが多いわけで、定期的に配信していくのが理想。逆に、キャンペーン的なものは一過性のコンテンツにとどまります。
広告のランディングページならば、ある程度パターンが決まっていますが、ネイティブアドのためのコンテンツは千差万別です。工夫とアイデア次第で、いかようにも作れますよ。
読み物として成立させつつ、自社の目的も同時に達成できるコンテンツをゼロから企画するとなるとややハードルが高いと感じるかもしれません。クリエイティブなスキルは求められますし、万人が思いつきでやれるものではないですからね。そのへんは、代理店に求められる力ですね。
今までログリーは“配信すること”に特化していました。でも、そもそものコンテンツがないとうまくいかないのがわかったので、ログリーもコンテンツを作る側に入っていくべきだと感じています。
Zenbackのブロガーさんを巻き込む仕組み等も作りたいし、コンテンツマーケティングを専門とする企業との連携も視野に入れる予定です。
最近、「うまいっ」って感心したネイティブアドは?
少し前になりますが、「意外!女子の理想の葬儀は散骨だった!?」って記事は面白かったので、クリックしてしまいました。
「Sorae(ソラエ)」という宇宙葬のネイティブアドだったのですが、登場人物らの対話形式で話が進んでいると思ったら、いつの間にか商品の説明になっているんです。でも、純粋に面白いし、「遺灰を宇宙に送られるサービスがあるんだ!」と新しい知識を知れたので、ぜんぜん嫌な気がしませんでした。
Six Apart 編集部の感想
ネイティブアドのコンテンツ作りに関するお話でしたが、オウンドメディアのコンテンツにも、参考になるインタビューでした。
企業が宣伝したい内容を盛り込んだ広告記事を煽りタイトルで呼びこむのではなく、読者の期待を裏切らない有益なコンテンツを提供し様々なルートで辿り着いてもらう。このようなコンテンツを作り出すクリエイティブの部分に関してログリーさんは「代理店に求められる力」とおっしゃっていますね。
とはいえ、自社で低予算でも出来る方法も大事。こちらは、オウンドメディア勉強会で情報交換していますので、興味のある方はこちらからご連絡ください。
オウンドメディアの初期の大きな課題は集客。既存のルートでリーチできていないターゲットに届けるための方法のひとつとして、従来のバナーやリスティング広告以外にもネイティブアドなどの手法で他社メディア経由での記事配信という選択肢は検討に値しそうです。
吉永さん、詳しい解説ありがとうございました!
参考記事
ネイティブ広告に関するガイドラインを策定 (JIAA)
ネイティブアドのガイドラインが機能してくれないと、間違いなくネットの記事を一つも信じられなくなる未来が来てしまう件について (tokuriki.com)
Six Apart をフォローしませんか?