Six Apart ブログ編集部のオウンドメディア運営にまつわる試行錯誤を晒します

こんにちは、シックス・アパートの中山です。

業界内では、『シックス・アパート = Movable Type やビジネスブログASPサービスを提供している = ブログに詳しい会社』というイメージが強いようです。

シックス・アパートはブログの会社だから、オウンドメディア運営なんかお茶の子さいさいなんじゃねーの?」と思っているとしたら、考えが甘い!いくらブログで飯を食っている弊社とはいえ、オウンドメディアを運営し続けていると、苦労や悩みのひとつふたつはあるものなんです。

2012年の春に始まったSix Apart ブログも、スタートして2年以上が経ちました。開始して1か月後に、「ソーシャルメディアの力は絶大だった! Six Apart ブログのオープン後1ヶ月間のアクセス解析結果を晒します」という記事も書きましたが、それ以来ほぼ報告していなかったので、久しぶりに2014年1月~4月の4ヶ月の成果を公開してみましょうか。

編集部の中山ことぶきの会話形式でお届けします。

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実は、検索流入に甘えていた

中山

2014年から、我々でSAブログの運営を引き継いでいるけど、それまではどんな状況だったっけ?

ことぶき

担当者が夏ごろに退職して、更新頻度が一気に落ちたんだよね。で、PVも減ってしまった。編集部不在の期間が数ヶ月続いて、年末頃に「こりゃ、まずいぞ」って雰囲気になったよ。

中山

PVはどれくらい下がったの?

ことぶき

実は、さほど減ってない。SEO効果がむちゃくちゃ効いてて、検索流入で安定したアクセスがあるの。早起きの記事とか、仕事ができる人の記事とか。エバーノートの記事とか。

中山

放っておいてもアクセスがあったから、安心してたってのは正直あるよね。

ことぶき

そう。で、12月に入ったあたりから、私と中山さんが名乗りを上げたんだね。リブートかけなくちゃ!って。


オウンドメディア運営に欠かせない”編集機能”

中山

更新頻度が落ちたイチバンの理由は何だったんだろう。

ことぶき

編集部(長?)として立ちまわる人が抜けたのが大きかった。編集が機能せず、個々のプレーに依存せざるをえなかった。

中山

編集がいないと、書き手は不安になるよね。アイデアがあっても、相談者がわからないから、「これって勝手に書いちゃっていいのかな?」、「自社ブログの方針にマッチしているかな?」、「誰が中身を確認したり、意思決定するんだろう?」って書き手がビビってしまったかも。

ことぶき

企業として情報発信する以上、複数の眼で内容を精査しなくちゃいけないのに、編集機能がないと誰だって及び腰になってしまうよね。

中山

そんな状態が3-4ヶ月続いてしまうと、なんとなく更新されなくなっちゃうよね。

ことぶき

企業がブログやオウンドメディアを運営するとき、欠かせないのは「編集機能」なんだって身を持って学んだよ。

中山

そう。部って大げさじゃなくて、1人でもいい。窓口になる人がいるだけで違う。そもそも、メディア企業じゃないんだから、大人数な部署なんて持てないし。


新編集部がまず着手したこと

中山

我々が年初から引き継いだときも、やることがけっこう山積みだったねえ。

ことぶき

基本に立ち返ったよね。まず、そもそもの目的を再定義したし、そのためのディスカッションも何度も重ねた。なんでやるの?なんのためにやるの?読者にどういうメリットを提供したいの?ビジネスにどう還元するの?ってことを話し合っては、Google Docs にガンガン書き込んで社内にシェアした。

中山

同時に、編集部(と言っても2人だけ。しかも他の業務と兼務)を設置した。

ことぶき

全社的な説明をするまでに、1ヶ月近くかかったね。編集部では意識合わせできていても、客観的に文章化して組織として共有もしておかなくちゃいけないから。

中山

あと、KPIとして数値目標を設定したね。仕事としてやる以上、これは外せない。

ことぶき

PVやソーシャルでバズらせることは、歓迎はするけど第一の目的ではなくって、まずは定期的な更新頻度を守り、アクセス解析を月次でレポートするようにもした。

中山

これはずっと守れている、なんらかの数値目標がないとだらけてしまう。

ことぶき

編集会議と社長賞も復活させたし、数値を見える化したね。

※編集部注:社長賞 = クオーターごとに、期間中にもっともMVP的な活躍をしたライターに授与する賞。編集部の独断と偏見で選んでいる。

中山

でもって、デザインやフォントを読みやすく変えて、カテゴリを見直して、プロフィールブラッシュアップして、ソーシャルシェアのボタンを最適化して、タグラインを修正して…という作業を1ヶ月以上繰り返してみたかな。

ことぶき

定期的に更新するだけじゃなくて、社内の色んな人に書いてもらって、バラエティ豊かにしたかったから、ライターのリクルーティングもしたり。

中山

まだ書いたことのない人に書いてもらうのも一つの試みだったね。個人的には、社内の連絡手段の Yammer(ヤマー) がけっこう機能してると思ってて、「書き手と編集部のやりとりが可視化される」ので、どこで原稿が滞っているのか、誰がボールを持っているのか、がはっきりした。


見えてきた成果、新たな発見、学んだこと

中山

リブートを年初からかけてみたら、PVとソーシャル数は、わりとすぐに復活して驚いたよ。

ことぶき

最初の月であっという間にV字回復したよね。PVは当月3割以上増えたし、3ヶ月後にはリブート前の2倍に伸びたし。

中山

社内からは、メルマガへの申し込みも急増したって報告を受けたよ。

ことぶき

ソーシャル波及力の伸びはもっとすごくって、初月で5倍、翌月は10倍伸びた。(Facebook、ツイッター、はてブ、google+等の合計)

中山

ソーシャルでシェアが伸びるかどうかは、メディアやシェアする人が有名かどうかという要素に強く依存するかと思っていたけど、努力次第でいかようでも増やせるって確かめられたのもよかったね。

ことぶき

あと、インタビュー形式なら、書くのが苦手な人も参加してくれるってのは発見だったかも。

中山

書かなくても、しゃべることはできるって人は大勢いて、そういう人達から面白い話、役に立つ情報を聞き出せたのは収穫だった。結果的に、記事のラインアップもバラエティ豊かになった。


シックス・アパートブログの今後の課題

中山

いいこと尽くしのようだけど、今後の課題はなんだろう?

ことぶき

まだ離脱率が高いんだ。回遊率を高めるために、Zenback を入れたり、関連リンクを増やしたり、カテゴリ分けをし直したり、著者プロフィールをブラッシュアップしているんだけど。

中山

離脱率の高い低いは、サイト全体で語ると難しいかも。ライフハック記事は、どうしたって読んだらおしまいってなりがちだからね。

ことぶき

シックス・アパートの製品に関する情報とか、より会社と関連性の高い記事がランディングページの場合、回遊率は2割くらい上回る。なので、一定の効果は出ていると考えてよいと思うよ。

中山

まだ書いていない人を巻きこむってことは、もっと進めたい。試行錯誤でオウンドメディアを運営してみて思うのは、やればやるほど情報やノウハウがほしくなるってことかな。シックス・アパートという立場上、このメディアが成功事例になることは大切だけど、他社の参考になる情報や取り組みを発信するのも我々の役割なような気がする。

ことぶき

これまでも、ブログやオウンドメディア運営について、いろんな人に会って、記事にさせてもらった。勝間和代さん、サムライト社の柴田さん、デイリーポータルZ、さくらのナレッジの鈴木編集長とか。

<関連リンク>

オウンドメディア勉強会を始めました!

中山

これまではシックス・アパートと社外の誰かってマンツーマンでしか会ってこなかったけど、会社や業界の枠を越えて、オウンドメディア担当者同士で勉強会とかワークショップを企画したら、きっと有益だって話は雑談レベルではしてたんだ。

ことぶき

で、5月に第1回めの「オウンドメディア担当者勉強会」を企画して、我々とさくらインターネットさん、ワンダーラストさんの3社で行うことになった。まだ始まったばかりだけど。

<関連リンク>
中山

月イチペースで企画して、その都度アジェンダを設けて参加企業がライトニングトークをするって流れにしていくつもり。もし、「オウンドメディアを運営しているんだけど、社外の人と学びたい」とか「お互いのノウハウをシェアして、より上手に運用できるようになりたい」って思ってる方がいたら、シックス・アパートブログ編集部までご連絡ください。

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