「あの会社は、どうやって自社メディアを運営しているのか?」 【第1回オウンドメディア勉強会レポート】

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シックス・アパートの中山です。

自社でメディアを運営していると、ふと「他社の担当者も、似た課題を抱えているのかな」とか、「あの会社はどうやってネタ出ししているのだろう」等と感じる瞬間があります。

シックス・アパートブログの編集部(中山&ことぶき)は、週次で運営ミーティングを開いては、「ここのデザインを変えよう」とか「来週はこのネタで行くから、○○さんにリマインドしておかなくちゃ」等とやっているのですが、課題にぶち当たるたびに、「社外のオウンドメディア担当者と互いに学べる場所があったらいいのに」と思っていました。


悩むくらいなら自分たちでやろうと考え、オウンドメディア担当者同士で学び合う場所を作ることにしました。それが「オウンドメディア担当者勉強会(Powered by Six Apart)」です。

キックオフミーティングには、お仕事でつながりのあるさくらインターネット(株)さんと(株)ワンダーラストさんが参加してくれました。


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参加企業


それぞれのメディアの印象を伝え合う

シックス・アパートは従来のいわゆるブログ的デザイン。反面、さくらのナレッジとトリポートはタイル型。

さくらのナレッジ

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TRiPORT

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なぜこのスタイルになったのか、というところから話は始まりました。

sakura

ファーストビューの一覧性が高く、アイキャッチ画像が目立つのがいいから

triport

私達も同じ。たくさん記事があって活発な印象を与えられるので

sixapart

元の担当が決めたので、当時の議論は深く関わっていない


さくらのナレッジとトリポートは、ぱっと見で記事がたくさんあって、にぎわっている感じを出したいという部分で一致していました。

他社メディアを見ていると目移りしてしまい、トップデザインを真似したくなったりすることもあります。しかし、検索やソーシャルからランディングするのはもっぱら個別の記事ページなわけで、「トップデザイン変更にリソース割くの?」という気はしないでもないです。3社ともに、TOPからもそこそこアクセスはあるけれど、検索流入は圧倒的に記事経由なので。

<コメント>

自社のメディアを社外の人にコメントしてもらうのは、意外にレアな体験です。 互いが、「あ、そう思われていたんだ」、「なるほど、そういう感じ方もあるのか」という発見がありました。実はシックス・アパートブログも「タイル型にしたほうがいいのでは?」というアイデアは出ていまして、やる価値はあるような気がしてきました。


サイト運営のゴール設定

PVやUUはわかりやすい指標だし、多ければ多いほどうれしい。バズれば、さらにうれしいし、シックス・アパートもたまに狙いに行くこともある。その点、さくらのナレッジは「PV至上主義ではない」というスタンスがあるそうです。その代わり、重視するのがソーシャルへのエンゲージメント、ファン拡大に貢献しているかどうか。

3社とも、万人を相手にしたニュースメディアではなく、ターゲットを絞った目的のあるメディアである点では一致しています。最終的な目標は、メインのサイト(コーポレートサイト、サービスサイト)へ流入させること。

sakura

記事の最後にお知らせ枠を置き、読み終わった感を出すとか、ネクストアクションにつながるモノを表示したい。結果的にはサービスサイトへの誘導率、回遊率が上がった

<コメント>

ワンダーラストもシックス・アパートも同様の試みをしており、読後の導線作りのアプローチは似通っていました。


意外な効果

企業のブランディング効果を狙っているのは各社共通です。しかし、企業のブランディングってどうやって計測したらよいのでしょう?効果を発揮していると気付かされるのが、「人材採用」や「営業」の場面ですね。

sakura

さくらのナレッジを読んで応募してきた人がいて、“仕事内容がイメージできた”と話していた」と人事部から反応があった。もともと企業イメージ向上によるリクルーティング強化は、サイト立ち上げ時の目的のひとつだったが、実際に面接でそういうコメントをしてもらえると嬉しい。今後も社内の情報はできるだけ開示していきたい。

また、当社は「データセンターにサーバがズラっと並んでるイメージ」はあったかもしれないが、スーツを着た営業マンが存在しているとか、カスタマーサポートの人がどんなかんじか…といったイメージはこれまで持ってもらいにくかった。しかし、そのへんが変わってきたようなかんじがする



<コメント>

サーバ会社がどんな会社なのか、どんな人がどんな働き方をしているのかって、たしかに見えにくいですね。中の様子が見えにくい会社ほど、こういった効果は現れやすいでしょうね。


ライターさんのマネジメント

メディアを運営する以上、書き続けることは宿命。続けることはラクではないです。
それぞれがどうやってライターさんの管理をされているのかを話し合いました。

sakura

社内ライターは原則無償(業務の一環として)でご協力いただく形だけれど、みなさんちゃんと執筆してくれる。もともとの本業が忙しい人達なので、事務局が執筆から公開までのスケジュールを管理し、メール等でリマインドするように気をつけている

triport

ライターは全員インターンで、やる気にあふれている人達ばかり。連絡手段にチャットワークを使っているが、学生のインターンになじみが薄いツールのようで、キャッチボールが滞ることはある。向こうからチャットワークで返事があれば、事務局は即レスするようにして、待たせないようにしている

triport

インターンには”やることがない”状態を作らないのがコツ。記事リクエストは多めに振る。週1本ペースだと、1ヶ月分に相当する4つのリクエストを出すようにしている。同時に〆切も設定し、近くなってきたら催促している。編集部からアイデアを提示することもあれば、インターンらの自主性(得意分野)に任せることもある

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社員に協力してもらうスタイルなので、強制しないのが原則。その上で、本人が書きたいことを書いてもらう。本人が自分の知識(の豊富さ、深さ)に気づいていないことがよくあるので、それを指摘してあげることもする。書くのが苦手な人にはインタビューで答えてもらったりすることも

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ふと、PVの多さ=正義みたいな空気になることはある。検索回数が少なくても、ターゲットが明確なコンテンツはロングテールで効くとか、離脱率が低い(= 回遊に貢献している)記事を書いた社員へ、貢献の高さをフィードバックしたりする

<コメント>

どの会社にも、文章を書くのが得意な人もいれば、そうでない人もいるという当たり前の事実。オウンドメディア運営がスムースにいくかどうかは、こういった目立たない裏方作業をマメにこなせるかどうか、な気がします。


情報共有の方法

ひとりで運営する個人ブログであれば、自分用のネタリストを作ればいいだけですが、組織で運営するとなると、一工夫必要。アイデアを共有フォルダで保管したり、アイデアの良し悪しを話しあったり、こんなのどう?って打診してみたりする場所が必要なのです。

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共有シートを渡して、思いついたことを各自でメモしてもらっている。会社全体でチャットワークを採用している。目的ごとにグループを分けられるのがいい。コミュニケーションツールはチャットワークは一番使いやすいという結論になった

sakura

社外とはFBメッセンジャーを使うこともあるが、社内連絡手段は基本メールで個別に送っている。全体で共有する情報は、メーリングリストや社内ブログを使うことも

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Yammerを全社的に使っており、目的別グループで分けている。会話がメンバー全体で可視化されるのがよい、アサインもハッキリするし履歴も残る。以前はFBグループでやっていたが、検索性が悪かったのでやめた経緯がある

<コメント>

ネタを「漏れなく、無駄なく、無理なく」保管する方法がないといけません。たとえるなら、“ネタの冷蔵庫”ですかね。そうでないと、「そのアイデア、いいね!」と盛り上がったネタが、翌朝思い出せない・・・といったことがあるのです。


書き手のモチベーションをどう維持するか?

ライターさんのマネジメントとかぶりますが、モチベーションという心の炎を絶やさないようにするにはどんなコツがあるのでしょうか?

sakura

どれくらい読まれたのか、結果をライターさんにきちんとフィードバックする。あと、もちろん感謝の念も。こまめにフォローするのは大事

sixapart

社長賞をクオーター制で授与しているが、モノで釣るというより、感謝と承認の印として制度化している。ちなみに過去の商品はamazonギフトカードとかiPad mini。多少は効果があると思う。授与の基準は単純なPVではなく、ソーシャルの拡散とか、社内外への影響の大きさを加味して、編集部の独断で選ばせてもらっている。中山もことぶきも過去に受賞しており、再受賞したいのだが、編集部という立場上それはムリとあきらめている(笑)

triport

インターンはみなさんやる気があるので、あまり困っていない(笑)

<コメント>

やはり、一番のモチベーターは「金銭やモノ」ではなく、「自分が書いたコンテンツが多くの人に読まれた」とか「人様のお役に立った」という精神的な満足だと思います。


1ヶ月のPVはどれくらい?

やっぱり気になるPV。各社の数字を聞いてみました。

triport

UUで5万、PVで7万5,000ほど。訪問者別の平均PVが2を満たないので、ブログ内での回遊性をより高めたい

sakura

1年運営してきて、月間10万PVをコンスタントに越えられるようになった。ちなみに月5万PVを越えるあたりまでは、社内でも「さくナレって何?」ってかんじだったが、1年経って認知度が上がってきたので、もっと会社ぐるみでやっている感を出したい。“広告で同じPVを獲得しようとすると、いくらいくら費用がかかるんですよ”という形で成果報告すると理解が得られやすいと思う

sixapart

月間で10万PVを越えるくらい。多いときで12万PV程度。バズった記事があったときは、25万弱のPVがあったこともある

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オウンドメディアの読者をどうやってカウントするかが悩みどころ。2記事以上訪問した人は読者とするか?等と定義の仕方を議論している。Huffington Post に記事を提供していて、それ経由の流入は多い。しかし、外部メディア経由はエンゲージメントが薄いのが難ではある

<コメント>

単純にPVだけを追い求めることはしないと言いつつも、「よいコンテンツであれば、読まれるはず。だから結果的にPVは伸びる」という気持ちは捨てられないものです。


(ジャンルや内容等の)バランスはどれくらい配慮してる?

目的を持ったメディアである以上、ある程度狙いを持って記事のジャンルや方向性を決めていくものです。バランスに正解はないので、どうしても他社さんがどうしているかが気になりますね。

sakura

メインターゲットであるITエンジニア向けの、仕事に役立ててもらえそうな技術系記事が全体の6割ほど。初心者むけのライトな記事が3割ほど。これらは今はPVを稼げないが、未来へのタネまきだと思って制作している。残りの1割はイベント告知やレポートなど、その他系

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ライターが書きたいものを書いてもらうのが基本ポリシー。海外旅行の経験を記事にしてもらっている。サービスサイトもオウンドメディアも、「旅」で統一感を出している。ゴールは、サービスサイトであるcompathy につなげること

sixapart

1.オウンドメディア運営法、2.自社製品に関連する情報、3.会社と中の人を伝える、の3つのカテゴリを意識している。それぞれの割合は同じくらい。ブランディングと新規流入、リクルーティング(社員&ユーザーコミュニティ)が主目的

<コメント>

さくらのナレッジは6:3:1、ワンダーラストは「旅」一本、シックス・アパートは1:1:1と、三者三様でした。正解はないので、走らせながら独自に見つけ出していくしかないです。


設置しているソーシャルボタン

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Facebook、ツイッター、はてぶ、google+の4つ。PocketユーザーはITリテラシーが高そうで、自社ユーザーとはちょっとマッチしないと判断したので外してある

sakura

Facebook、ツイッター、はてぶ、の3つ。ページの読み込み完了速度とかを検証した結果、この3つに絞った

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Facebook、ツイッター、はてぶ、google+、Pocketの4つ。ボタンサイズや位置を微調整して最適化を進めているわりに、目立った変化はない


編集長の立ち位置について

sakura

編集長は前面に出ない。“なかのひと”として書くことはあるが、他のメンバーも書けるようにしているので、あえて顔は出さないことにした。編集長はあくまで調整役で、主役は“書いてるライターさん”なので

sixapart

シックス・アパートブログも、さくらのナレッジに似た考え。1代目と2代目の編集長を務めてきた社員が退職して、我々は3代目に当たる。いつかは担当が変わることもあり得るので、編集長のキャラが入り過ぎないよう、あくまで会社でやってるメディアですよ感は失わないようにしている


デザインのカスタマイズについて

sakura

立ち上げ期は外部に制作をお願いした。PDCAはなるべく編集部内でまわし、必要に応じて社内のコーダーに協力を得たり、外の業者さんに発注している

triport

基本デザインとコードはインターンにお願いしている。技術力のある学生もいるので、得意分野を発揮してもらっている


オウンドメディア担当者として、気になっていること&知りたいこと

オウンドメディア運営で日々格闘していると、いろんなことが気になります。
順不同で並べてみたら、こういったものが挙がりました。


** 読者を何で見るか、誰がコアな読者なのか?どう設定しているのか?
** 後継者をどう育てるか?
** メディアとオウンドメディアの違い 各メディアのこだわりがどこにあるのか?
** どういうターゲットで?どういうアクションに落としてほしいのか?
** 会社から「やっててよかったオウンドメディア」って思われること。上の説得。そういう編集テクニックを学びたい。
** 社内の存在感を出すため読者設定
** (知名度が低い)スタートアップ企業のオウンドメディアの立ち上げ方

次回以降の勉強会でアジェンダとして取り上げ、より深く学び、研究していく予定です。

オウンドメディアを検討中の方、始めてはみたものの試行錯誤されている方、他社での実践や方法論にご興味のある方は、お気軽に「オウンドメディア勉強会紹介ページ」からご連絡ください。


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