日々運営しているからこそ話せる、担当者同士のライトニングトーク 【第2回オウンドメディア勉強会レポート】(後編)
シックス・アパートの中山です。
シックス・アパートブログ編集部主催の「オウンドメディア勉強会」、第2回目をおこなったので後編レポートをお届けします。今回は、サムライト株式会社の柴田さん、さくらインターネット株式会社の鈴木さんによるライトニングトークのご紹介。
(前編はこちら)
「日々運営しているからこそ話せる、担当者同士のライトニングトーク」 【第2回オウンドメディア勉強会レポート】(前編)
「コンテンツ制作の時に私が気をつけている13のコト」(さくらインターネット)
鈴木さんの前職である、オールアバウト在籍時に学んだことを中心に、さくらのナレッジでも活かせているコンテンツ制作術についてお話しいただきました。
オールアバウトは、マネーから恋愛まで、生活にまつわるお役立ち情報を、その道のプロである「ガイド」が紹介する総合情報サイトです。
1. 文章の主体は明確に
「メディア(自社)」、「ガイド(その道のプロ)」、「広告主(クライアント)」、そして「読者」というふうに、色んな視点が文章内に混じりがちになるので、「この記事は誰目線で書いているの?」と自問自答する。いろんな要素や事情が絡むが、最終的に「読者」視点で読んで、しっくりくるかをもっとも大切にし、文脈に合わないものは変えていく。とくに広告がからむ記事の場合、板挟みになってしまいやすい。そういう時こそ、読者を最も大切にしつつ、あくまでメディア視点をブラさない・・・という心がけを忘れてはいけない。
2. 使い勝手のいい敬称は「氏」
文章中に登場する方々の敬称として、「さん」「様」「役職」「氏」が考えられるが、「氏」でなるべく統一している。理由は、「さん」ではプロフェッショナル感に欠け、「様」は堅苦しいし、そもそも読者目線ではない。「役職」は悪くはないが、時間の経過とともに役職が変わることがあるのが難点。よって、「氏」を優先的に使っている。
3. 敬体? 常体?
敬語を含まない文体を「常体(です・ます)」と言い、敬語を含む文体を「敬体(だ・である)」と言うが、「です・ます調」を優先している。とくに、過剰に敬語を使いすぎるのは、やはり読者目線ではないので気をつけている。
4. 手書きで構成案を作る
アイデアが浮かんでも、いきなりパワーポイントは立ちあげない。まずポストイットやメモ用紙にカンタンな構成案を書く。起承転結等のブロックに分け、各ブロックに何を書くか考えて手書きでメモをして思考を整理してからデータ化する。パワポ資料を作ることが仕事になってはいけなくって、大事なのはあくまで中身。
5. 読者の”態度の変容”を意識する
記事の終わりにアンケートフォームを用意して、「認知度(知っていたか?)」「関心度(興味をもったか?)」「利用検討度(使ってみたいか?)」で計測していた。ここの数値をいかに上げるか、読者の意識にどれだけ影響を与えることができたか、を意識していた。
6. 話の流れをひっくり返してみる
起(あのね)→承(そしてね)→転(ところがね)→結(そこでね)という「起承転結」が王道な構成ではある。 だが、「結転承起」とか「結起承転結」という風に、いちど組み立てたストーリーを別の視点に並べ替えてみると、より面白い記事ができることがある。とくにネット記事は読者がせっかちで、結論を先に求めがち。それに答えようとすると、起承転結では悠長すぎる場合もある。
7. タイトルもひっくり返してみる
「○○○○はダイエットに効く!」
「ダイエットに効く!○○○○」
どっちがよりクリックしたくなるかは人それぞれ。ただ、「ダイエットに~」というメリット(ゴール)から始めることで、ずらっと並んだネット記事の中で目立つことができる。「できた!」と思ったタイトル案も、前後をひっくり返してみると、さらによくなるケースがある。
8. タイトル10本ノックは必要か?
最初のうちはトレーニングとしてやってみるとよい。オールアバウト時代によくやったのは、タイトルを見ずに記事だけ読み、「自分ならどんなタイトルを付けるか」と考えるトレーニング。1日3-5記事を1ヶ月やった。所要時間は30分-1時間で、必ず上司や同僚などからフィードバックをもらうようにした。アイデアを交換しあうと刺激にもなるし、勉強になる。
9. 画像とテキストのバランス
人は画像に自然と目がいくので、バランスよく画像を挿入した。風景→人物→モノ→グラフ→商品など流れを作り、画像の種類にもバラエティを持たせている。基本的なことだが、写真の人物の目線に合わせて、テキストを置いていた。(たとえば目線が右向きの写真なら左に写真、右にテキスト。対談ならお互いの目線が逆向きにならないように配置するなど)
あと、画像を左右に散らして配置するのも何気に効果的である。仮に関連する画像が何もない場合、ただのイメージ画像でもよいのでテンポ感を出すために載せるべき。
10. 時間のルール
独自の時間ルールというものを設けていている。
* 3秒ルール 「ウェブのミス(誤字脱字)は、すぐに気付いて直せたらOKなことにする」
* 15秒ルール 「インパクトで興味を引く。つかみが大事」
* 1分ルール 「読まれるのは冒頭と末尾だけと心得る。ナナメ読みされたとしても1分前後で読めて、おおよそを理解してもらえるボリュームにする」
* 半日前ルール 内容のダブルチェックは(人を)公開直前では遅い。最低でも半日前には予約する。
あと、10ページある広告の場合、2ページまで見てくれれば最後まで見てもらえる可能性高いと経験則でわかっている。
11. インタビューの心得
聞いたことを書くのではなく、「書きたいもの」を聴き出すようにする。聞き出すべきことをインタビュアー側がはっきりイメージしておくこと。
12. 景品表示法(消費者庁管轄)と薬事法(厚生省管轄)は一度読むべし
景品表示法は、景品(や賞品)のことだけを規定している法律ではない。商品を紹介したら、広告とみなされる。Webは指摘を受けたら取り下げることができる。とくに、薬事法は表現的なグレーゾーンが多いのでキチンと理解しておく必要がある。
13. Wordがけっこう頼りになる
表記ゆれ・誤字脱字対策はWordがおすすめ。書き上がったテキストをコピペして、Wordに放り込んでチェックかけるだけ。機械任せではあるものの、超長文の場合は人間チェックよりも頼りになることも。一瞬で終わるし、意外とミスがみつかる。
### Q&A
Q 「タイトルの引き出しを増やすためにしていることはある?」
>> 中吊り広告を読む?とかしています。とくに、SPAと東スポは秀逸。記事そのものは大したことが無くても、タイトルとキャッチフレーズが中年男子の心をわし掴んできます(笑)。
「オウンドメディアとSEOについて」(サムライト)
続きまして、先日オウンドメディアの総合支援サービス「サムライト ネットワークス」のリリースを行った、サムライト株式会社代表、柴田さんからのLTです。
サムライト社の運営サイト(一部を紹介)
「オウンドメディアのコンサルやサイトそのものの構築、コンテンツ制作をする機会がここ数ヶ月で増えています。どの会社にも共通しているのは、自社のサービス認知を拡大し、少ない費用で効率的に集客したいということ。その手段の一つとしてオウンドメディア運営のご相談を頂くのですが、SEOの知識をしっかり持っているところが意外に少ない。それと、コンテンツを制作するリソース、ノウハウがないんです」
「企業は“伝えたい情報”や”売り込みたい情報”を持っています。ユーザーは“役に立つ情報”と“共有したい情報”を欲しがっています。両者の間に溝があるわけですね。企業本位で情報発信しても、ユーザーには響かない。ここに課題があります」
「私がお手伝いするのは、“企業が伝えたい情報と、ユーザーが知りたい情報のオーバーラップする部分を探す”こと。ユーザーに役立つ情報を提供することが大前提です」
「立ち上げるオウンドメディアのコンセプトとペルソナは、十分にディスカッションして煮詰めます。企業が出したい情報を、いかにユーザーが求める形に落としこむかに知恵を絞ります。ときには、笑いを取るとか、予想外のことをしてシェアされることを狙うこともします」
「SEOについては、(タイトルやキーワード等)記事単位で考えることはもちろんしますが、その前段階で、“メディアそのものの構築設計がキチンとできているか”も大事です。ここがおろそかになっていると、せっかくの記事での努力が薄まってしまいますからね。カテゴリの構成やmetaタグ、パーマリンクの設定など、自前のSEOチェックリストを使って、クライアントさんと課題を潰していっています」
「対策したいキーワードに対するクエリ数や競合情報も調べますね。狙えるキーワードを見つけ出すことは重要なのですが、やはり便利で役に立つコンテンツを狙ったキーワードで作ることが大事なんです。検索でHITしたら終わり、ではなく、読んでもらってファンになっていただくことが最終ゴールですから」
「ネタ探しやブレスト、提案、ディスカッション等は、チャットやフェースブックグループで行います。“企業が伝えたいこと”と“ユーザーのニーズ”をくっつけ、会社オリジナルの情報として記事にしていきます」
「たとえば、アポイント調整専用カレンダーサービスを提供している「クウハッカー」のメディアのお手伝いをしている中で、単純にプレスリリース出しておしまいにするのではなくて、社員のキャラを前面に出した面白記事にしてバズを狙うこともします。「粟島、会社辞めるってよ」っていうストーリーでネタ記事にして人材募集に広げたりする、等です」
### Q&A
「タイトルで工夫していることってある?」
>> 同じ記事でも、ソーシャルメディア等で拡散されるためのタイトルと、検索エンジンに評価されるためのタイトルをそれぞれ設定したりすることもあります。検索エンジンに対しては、狙いたいキーワードが目立つように入れます。
「どうやって情報収集しているの?」
>> プロデューサーの立場から、世間で何が流行っているのかよくチェックします。基本はネットで、社員同士で勉強したり、情報交換しあいますね。自分は知っていても、周りが知らないとか、その逆はよくあるものです。先日「スメハラ」というワードを聞かされて、「何だそれ?」ってなりました(笑)。
※スメハラ:「スメルハラスメント」の略。臭いによって他人に不快感を与えること。
「クライアントからのリクエストがずれることはある?」
>> 複数のメディアをお手伝いして、常に情報収集しているからこそ、客観的な外部視点をもっていると思っていて、そこも我々が提供できる価値です。クライアントと我々でコンセプトがズレないよう、コンセプト作りのゼロから立ち上げに関わっています。始めにしっかり意識合わせできていれば、問題は起きにくいですよ。
「クライアントからアイデアを出してもらうための工夫は?」
>> やはり、企業内部から情報は出して欲しいし、積極的に関わって欲しいです。そのために、我々が豊富に持つ他社さんの記事をお見せすることはよくやります。具体例を見ると、「ウチも似た路線でいこうか」とか「こういう系統のネタを自社で拾ってみようよ」といったアイデアを引き出す効果があります。
以上、現場で日々知恵を絞って行動している方の生の声は参考になりますね。皆さんのオウンドメディア運営の一助になれば幸いです。
オウンドメディアを検討中の方、始めてはみたものの試行錯誤されている方、他社での実践や方法論にご興味のある方は、お気軽に「オウンドメディア勉強会紹介ページ」からご連絡ください。
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